「原発ゼロ」「再稼働反対」を訴える首相官邸前抗議行動は3月27日、3年を迎えました。首都圏反原発連合(反原連)が最初に官邸前行動を行ったのは、2012年3月29日。今回で142回目です。1200人(主催者発表)が参加。原発推進の安倍晋三内閣に対し、「原発をなくすまで声をあげ続ける」と訴えました。
参加者は「官邸前行動3年 再稼働反対」などのプラカードを掲げ、ドラムのリズムに合わせて「安倍晋三は原発やめろ やめられないなら首相をやめろ」などの力強いコールを響かせました。
仕事終わりに参加した東京都中野区の女性(38)は「原発事故の原因すらもわからないのに、再稼働しようとしているのがいちばん許せない」と憤ります。「これからも声を絶やさずに、反対し続ける」
同大田区に住む女性(67)は「3年間もみんなが声をあげ続けているのに、政府がいまだに再稼働に固執しているのはひどい。政府は原発を動かさず、被災者支援をすべきです」と話しました。
「事故から4年たっても、政府は何も学んでいない」。同日野市に住む男性(68)はいいます。原発以外の問題でも、政府のやり方に疑問があるとのべ、「おかしいことには、しっかり声をあげていきます」と語りました。
2012年から抗議行動に参加しているという神奈川県平塚市の女性(62)は「子どもたちのためにも、原発がなくなるまで反対します」と話しました。
吉良議員スピーチ 官邸前行動
27日、原発反対の首相官邸前行動に参加した日本共産党の吉良よし子参院議員は、国会正門前でスピーチしました。
この日の参院予算委員会で日本共産党の倉林明子議員の質問に対し、安倍晋三首相が「住民への説明をおこないながら、再稼働をすすめていきたい」と答弁したことを批判。「再稼働はきっぱりやめるべきだ」「国民の納得できない再稼働は絶対許さない。あきらめずに声を上げていきましょう」と訴えました。
原発ゼロ その日まで 官邸前3年
3月27日に3年を迎えた首都圏反原発連合(反原連)の首相官邸前抗議行動。毎週金曜日の夜、雨の日も雪の日も、「原発いらない」「再稼働反対」と訴え続けてきた人たちの思いは―。
後悔から行動
■東京都清瀬市の女性(56)
原発事故が起きたときに感じた「なんで何もしてこなかったのか」という後悔が、官邸前に足を向けさせています。原発は制御できないとわかった今、原発をとめるのは、つくった者の責任です。安倍政権の思い通りにさせてはいけない。
しぶとく参加
■埼玉県富士見市の女性(46)
福島第1原発事故が起きた時の、声をあげずにはいられなかった怒りと悲しみの気持ちを今でも覚えています。官邸前で抗議行動が続いていることは、すごく大事なことです。これからも自分のペースで、しぶとく参加し続けていきたい。
微力でも声を
■横浜市の男性(44)
再稼働は正気のさたとは思えません。地震やテロが起こったら、福島の原発事故と同じようなことが起こる。原発を動かせば、放射性廃棄物が増え、これからの世代の負担がどんどん重くなる。微力でも声をあげていくことが大事です。
走る「脱原発」
■札幌市の男性(69)
とにかく、原発反対の行動を続けていかないとだめです。官邸前行動には、10回参加しています。マラソンが趣味で、大会に出るために東京にきたときに必ず参加しています。走るときは「脱原発」のゼッケンをつけてアピールしています。
どんなときも
■神奈川県大和市の男性(74)
2年以上、官邸前行動に参加しています。官邸前では、寒いときも、暑いときも、若い人が毎週、がんばっている。私たちが声をあげなくなったら、政府は何をするかわからない。これからも参加し、訴え続けたい。
声は確実に広がっている
反原連の音響担当 若林一彦さん(62)
福島第1原発事故から4年がたちましたが、放射能汚染水や核廃棄物など、未解決の問題が山積みです。そのような中で原発再稼働を狙う政府の姿勢は、決して容認できません。
安倍政権は原発推進だけでなく、どの問題でも、独善的な施策を進めています。これをいかに崩していくか。なによりも、「原発は重要なベースロード電源」だとするエネルギー基本計画は、何としても撤回させないといけないと思います。
デモ行進すると、街の反応がとても好意的に感じます。表だって声を出していない人たちにも、「原発はいらない」という世論は確実に広がっているのではないでしょうか。
約1年半もの間、稼働原発ゼロの状況が続いており、原発がなくても電気は足りているんだということを、もっと多くの人たちに知らせていきたい。
1986年に起きたチェルノブイリ事故が、原発に反対する運動を始めたきっかけです。生きとし生けるものの命を脅かし続ける原発はどこにも必要ありません。
自分は官邸前で音響を担当しています。参加者から「スピーチがよく聞こえる」と言われるのが、励みになっています。原発ゼロの社会を目指して、これからも頑張っていきましょう。
世論と運動が追い詰める
首相官邸抗議行動は、だれでも自由に参加できる定例行動として、原発に反対する国民世論を目に見える形で示してきました。
首都圏反原発連合(反原連)が官邸前行動を始めた3年前は、野田民主党政権でした。この年の夏には、関西電力大飯原発(福井県)に反対して、参加者は20万人という空前の規模になりました。こうした運動の広がりのなか、民主党政権は「2030年代に原発稼働ゼロ」を掲げざるをえなくなりました。
2012年12月に誕生した安倍自民・公明政権は、エネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発推進に逆戻りし、九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)を突破口に再稼働に突き進んでいます。
しかし、どの世論調査でも、再稼働反対が5~6割を占め、本紙の調べで、原発反対の定例行動は46都道府県279カ所にのぼります。反原連は、原発をなくす全国連絡会、さようなら原発1000万人アクションとともに、「反原発統一行動」を5回行い、共同を広げています。
稼働原発ゼロの状況が1年半、続いています。「この状況をつくりだしているのは、3年間にわたって毎週金曜日に首相官邸前行動を続けてきた首都圏反原発連合のみなさんをはじめとする国民の世論と運動の力です」。日本共産党の志位和夫委員長は、8日の「反原発統一行動」でこう語りました。世論と結んだ粘り強い運動が安倍政権を追い詰めています。
官邸前行動 原発ゼロ訴え続け
原発ゼロ・再稼働反対を訴えて、27日に3年を迎えた毎週金曜日の首相官邸前抗議行動。2014年3月28日から15年3月20日までの行動を中心に、関連する動きを含めた年表を紹介します。(カッコ内の数字は官邸前抗議行動の回数。参加者数は主催者発表)
■ 2012年
3月29日(木) 第1回目の首相官邸前抗議行動。300人
■ 2014年
3月28日(金) 首相官邸前抗議行動(95)2200人
4月4日(金) (96)2000人
11日(金) 安倍内閣がエネルギー基本計画を閣議決定。反原連は昼と夜に首相官邸前で抗議行動。夜の行動(97)には3000人が参加
18日(金) (98)2200人
25日(金) (99)2000人
5月2日(金) (100)3000人
9日(金) (101)2300人
16日(金) (102)3000人
21日(水) 福井地裁が関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決
23日(金) (103)3300人
30日(金) (104)2300人
6月1日(日) 反原連が主催した「川内原発再稼働やめろ 官邸・国会前☆大抗議」行動が首相官邸前と国会正門前でおこなわれ、1万人が参加
4日(水) 反原連が川内原発再稼働反対と原子力規制委員人事の撤回を求める抗議行動を原子力規制庁前で開催
6日(金) 首相官邸前抗議行動が大雨洪水警報のため中止
13日(金) (105)2800人
16日(月) 石原伸晃環境・原子力防災担当相が福島第1原発事故の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設建設にむけた地元住民との調整に関して「最後は金目でしょ」と発言
20日(金) (106)2900人
27日(金) (107)2400人
28日(土) ノーニュークスデイ「緊急!! さようなら原発 首都大行進」が行われ、5500人が参加
7月4日(金) (108)1900人
11日(金) (109)1900人
16日(水) 原子力規制委員会が、川内原発1、2号機は新しい規制基準に「適合している」とする審査書案を了承
18日(金) 川内原発再稼働を求める九電会長らとの会食の席で安倍首相が「川内はなんとかしますよ」と発言。(110)2500人
25日(金) (111)2500人
8月1日(金) (112)2300人
8日(金) (113)2000人
12日(火) 北陸電力が志賀原発2号機の適合性審査を原子力規制委員会に申請
15日(金) (114)1000人(お盆休みのため国会正門前は休み)
22日(金) (115)1800人
29日(金) 翌日の「国会前大行動」のため首相官邸前抗議行動は休み
30日(土) 反原連が主催した「サマー・スペシャル 川内原発再稼働やめろ!0830再稼働反対☆国会前大集会」が国会正門前で開かれ、7000人が参加
9月5日(金) (116)1500人
10日(水) 原子力規制委員会が、川内原発1、2号機は新規制基準に「適合した」とする審査書を決定
12日(金) 政府の原子力防災会議(議長=安倍首相)が川内原発で事故が起きた場合の「避難」計画を了承。(117)1800人
15日(月) 国内の稼働原発ゼロから1年
19日(金) 安倍首相が東京都内で講演し、川内原発の「再稼働をすすめる」と明言。(118)2100人
26日(金) (119)1900人
29日(月) 安倍首相が所信表明演説で「安全性が確認された原発は再稼働を進める」と表明。
10月3日(金) (120)2000人
9日(木) 川内原発1、2号機が新規制基準に「適合した」とする審査結果について、鹿児島県などが薩摩川内市などで住民説明会を開催。
10日(金) (121)2000人
17日(金) (122)1700人
24日(金) (123)1500人
28日(火) 薩摩川内市の臨時市議会が川内原発の再稼働を求める陳情を賛成多数で採択し、岩切秀雄市長が再稼働に同意を表明
31日(金) (124)1700人
11月3日(月) 宮沢洋一経済産業相が鹿児島県を訪れ、伊藤祐一郎知事らに川内原発再稼働への理解を求める
7日(金) 鹿児島県の臨時県議会が川内原発再稼働に賛成する陳情を賛成多数で採択し、伊藤知事が再稼働に同意を表明。(125)2100人
14日(金) (126)1700人
18日(火) 安倍首相が衆院解散を表明
21日(金) 衆院解散。(127)1700人
28日(金) (128)1600人
12月2日(火) 総選挙公示(14日投票)
5日(金) (129)1600人
7日(日) 反原連が都内で街頭宣伝 「総選挙で原発ゼロを求める候補を選ぼう」
12日(金) 13日の行動準備のため休み
13日(土) 東京都内で「川内原発再稼働反対! 反原発☆渋谷大行進」。3800人
19日(金) 台湾で同時間帯に取り組んでいる、反原発行動との同時中継が始まる(130)1600人
24日(水) 川内原発の再稼働に反対して九州電力東京支社前で抗議行動 200人
26日(金) (131)2200人
■ 2015年
1月9日(金) (132)1600人
16日(金) (133)1400人
23日(金) (134)1300人
30日(金) 雪のため中止。反原連メンバーが台湾の反原発行動に参加
2月6日(金) (135)1400人
12日(木) 関西電力・高浜原発3、4号機について原子力規制委員会は「新規制基準」に適合しているという「審査書」を正式決定。安倍首相が施政方針演説で原発再稼働推進を表明。
13日(金) (136)1400人
17日(火) 関西電力が美浜原発1、2号機の廃炉を正式決定。日本原子力発電も敦賀原発1号機の廃炉を決定。
18日(水) 中国電力と九州電力がそれぞれ、島根原発1号機と玄海原発1号機の廃炉を決定。
20日(金) (137)1400人
27日(金) (138)1300人
3月6日(金) (139)1000人(ノーニュークスデイの準備のため国会正門前は休み)
8日(日) ノーニュークスデイ「原発ゼロ☆統一行動」 のべ2万3000人
13日(金) (140)1300人
20日(金) (141)1000人(22日の「安倍政権NO!☆0322大行動」準備のため国会正門前は休み)
※2012年3月から13年3月までのとりくみは13年3月28日付に、13年3月から14年3月までのとりくみは14年3月26日付に掲載しています。
(「しんぶん赤旗」2015年3月28日より転載)