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「帰村」2年 福島県川内村(中)・・国の線引き 住民分断

川内村の避難者の大半が郡山市の仮設住宅などに避難しています。写真は郡山市南1丁目仮設住宅=3月9日
川内村の避難者の大半が郡山市の仮設住宅などに避難しています。写真は郡山市南1丁目仮設住宅=3月9日

「賠償がいろいろ出たという(福島第1原発から20キロ圏内の人たちの)話になったら逃げる。聞くのがつらいから」

川内村住民が避難している郡山市の仮設住宅の運営の仕事をしている山田洋子さん(53)=仮名=はいいます。

山田さんの自宅は原発から約30キロ地点の旧緊急時避難準備区域(2011年9月末に指定解除)にあります。

同区域と、原発20キロ圏内の居住制限区域、避難指示解除準備区域では賠偏に大きな格差があります。

支援にも格差

旧緊急時避難準備区域は、▽1人月10万円の賠償は12年8月で打ち切り(しかも、政府方針では避難指示解除後1年は継続とあるのに、11力月分しかでていない)▽就労不能賠償も12年12月で終了▽宅地、建物、田畑への賠償なし▽昨年(2013年)末、政府が打ち出した早期帰還者への90万円賠償についても対象外・・などほとんど賠償がないのが実情です。

線引きによる格差は賠償だけではありません。

避難にともなう自宅の廃棄物処理も、原発20キロ圏内は国が責任を持つものとして無償ですが、山田さんが自宅のタンスを処分しようとすると、広域市町村圏祖合の事業になり、1個1120円かかります。

政府は、今まで行ってきた旧緊急時避難準備区域の国保税、介護保険料、医療費一部負担金の減免も、10月から一部住民を対象外とする方針。今度は同区域内にも格差と分断を持ち込もうとしています。

複雑な感情・・

賠償、支援策の格差は住民の問に複雑な感情を持ち込んでいます。

ある仮設住宅の集会所で開かれた賠償問題の懇談会では、居合わせた原発から20キロ圏内の住民も参加しようとしたところ、20キロ圏外の住民から「今日は賠償の話するんだから、あんたたちは混ぜねえ」という声が出て、20キロ圏内の住民がポツンとさみしそうにしているという例も。

仮設住宅を中心に、支援物資を届けたり相談活動を行っている日本共産党郡山地区被災者支援センターの大橋利明さん(64)はいいます。

「20キロというのは放射線量をみる上でのあくまで目安の線です。賠償や支援はそれにリンクさせずに、村や町単位で不公平感のでないようにする
べきです」(つづく)

県も町も改善要求

幅広い団体で構成する福島県原子力損害賠償対策協議会(会長・佐藤雄平県知事)は2月、「旧緊急時避難準備区域等を含め・:状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう、被害の実態に見合った賠償を行わせること」という内容の政府への要望書を提出しています。

同様の趣旨の要望書を、遠藤智・広野町長と遠藤雄幸・川内村長も政府に提出しています。

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