福島県浜通り地域最大の都市である、いわき市民約1400人が国と東電を相手に損害賠償を求めている「いわき市民訴訟」の第10回口頭弁論が3月26日、福島地裁いわき支部(杉浦正樹裁判長)で行われました。原告2人が意見陳述しました。
4人の子どもを持つ母親(37)は、原発事故で体験した苦難について涙ながらに陳述しました。女性の夫は解雇されたうえ、ストレスで無気力となり寝ているしかない状態になりました。うつ病と診断されたといいます。
当時小学校3年生になった次男は、避難先の学校でフクシマ菌」とばかにされて学校に行かなくなりました。仕事もみつからずに生活保護を申請。「私たち家族のように約1年間避難しても東京電力は、追加の賠償を払おうとしません。こんな不合理が認められていいはずがありません」と訴えました。
福島県農業試験所職員の経験を持つ専業農家の男性(76)は、「福島産米は1俵8千円程度に値段が下がり、家畜飼料米と同じ水準。情けない」と嘆きました。
男性の次女夫妻は孫たちと山梨県に引っ越したといい、「子どもは次世代を担う地域の宝です。安心して子どもたちが生活できる賠償や補償を国や東京電力に望みます」と陳述しました。
脱原発都市宣言・・福島 南相馬市が表明
東京電力福島第1原発事故で一部が避難指示区域に指定されている福島県南相馬市は3月25日、3月定例議会で「脱原発都市宣言」を表明しました。市によると、全国でも珍しい都市宣言といいます。
宣言は、①6万人を超える市民が避難を余儀なくされた②家族、地域、まちがバラバラにされ、多くの人が放射線への不安を抱いている・・と指摘。その上で「原子力災害を二度と起こしてはならない。原子力エネルギーに依存しないまちづくりを進める。世界に向けて脱原発のまちづくりを宣言する」としています。
南相馬市は事故直後から「脱原発」の姿勢を鮮明にし、市内で事故前から計画されていた原発建設についても反対に転じました。また、2030年までに市内の消費電力を全て太陽光などの再生可能エネルギーで賄う方針を示しています。
(「しんぶん赤旗」2015年3月27日より転載)