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原発のウソ エネルギー計画案⑤・・核燃料サイクル?/世界で導入拡大?

ポイント

・計画何十年も先送り
・毒性強く制御も困難
・費用は19兆円以上に

核燃料サイクルとは、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、再び発電に利用することです。プルトニウムを高速炉の燃料として使う方法と、プルトニウムをウラン燃料に混ぜ従来の原発(軽水炉)で使用する方法があります。後者は
プルサーマルと呼ばれています。

日本の高速増殖炉計画は1966年の計画発表以来、95年の原型炉もんじゅのナトリウム火災事故をはじめ重大事故が相次ぎ、全く進んでいません。当初80年代半ばの実用化を目指していましたが、その後2050年代に先送り。完全に破たんしています。

プルサーマルも問題だらけです。軽水炉はプルトニウムの利用を前提としていません。プルトニウムは毒性が強いうえ、本来の燃料であるウランと比べ燃えやすく、制御も困難です。原発の危険性がさらに高まります。

使用済み燃料の再処理工場も、当初は1970年度に稼働予定でした。トラブルが続き、いまだに運転していません。加えて核燃料サイクルの事業費は政府の試算でも18・8兆円、再処理だけで12兆円に上ります。それも費用のごく一部にすぎないと指摘されています。

エネルギー基本計画案は「核燃料サイクルの推進」を明記し、高速炉とプルサーマルをともに進めるとしています。ただ、あまりにも失敗が明らかな、もんじゅについては「課題について十分な検討、対応を行う」との表現にとどめました。

核燃料サイクルには、自民党内からも批判が相次ぐなど矛盾を引き起こしています。

 

世界で導入拡大?

ポイント

14-03-19furyoku・地元住民が反対署名
・発電量はむしろ減少
・急拡大する再生エネ

エネルギー基本計画案は、東電福島第1原発事故後も、アジアを中心に世界の原発は増え続けると指摘。日本には「事故の経験も含め」原子力利用先進国としての貢献が期待されていると書いています。トップセールスで世界に原発を売り込む、安倍政権の姿勢を反映しています。

原発輸出の問題点を分析している「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝さんは、輸出候補の国々について「現在の政権は原発建設への協力を期待しているかもしれないが、原発推進が建設予定地の住民まで含めた合意になっているわけではない」と語ります。

三菱重工が輸出計画を進めているトルコ・シノップ市では、多くの市民が建設に反対。昨年(2013年)取り組まれた反対署名は、開始1週間で市民の1割を超えました。市長も2009年の当選以来、反対を貫いています。ベトナムやインドでも反対運動が起きています。

世界で原発が増え続けるというのも実態と異なります。2000年の世界の原発の発電量を1とすると、11年は0・93倍とむしろ減っています。1970年代以降、10年間に6倍のスピードで増えていた原発が、87年のチェルノブイリ原発事故で頭打ちになったことをみても、福島事故後も原発が増え続けるというのは非現実的です。

原発とは対照的に世界で急速に伸びているのが再生可能エネルギーです。太陽光は11年間で91・3倍、風力も13・7倍に拡大しました(グラフ)。原発ではなく、再生可能エネルギーの分野でこそ、日本は高い技術力で世界に貢献すべきです。
(つづく)

(しんぶん赤旗2014年3月19日付けより転載)

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