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アルプス運転停止 浄化水タンクに汚染水流入・・東電失態、防止策機能せず

福島第1原発のALPS(アルプス)施設内=IAEA(国際原子力機関)視察時、2013年11月、東京電力提供
福島第1原発のALPS(アルプス)施設内=IAEA(国際原子力機関)視察時、2013年11月、東京電力提供

福島第1原発で、汚染水から放射性物質を取り除く装置「ALPS(アルプス)」の除去性能が低下し運転を停止した問題で、浄化処理済みの水をためたタンク21基に高濃度の汚染水が流れ込み、最大で1万5000トン規模の汚染水が増加したことがわかりました。東京電力が3月19日、明らかにしました。防止の仕組みがあったにもかかわらず、機能しませんでした。今回の失態で、汚染水処理の計画がさらにずれこむ可能性があります。

東電失態、防止策機能せず

アルプスは、原子炉建屋地下などにたまった高濃度の放射能汚染水から放射性セシウムを減らした後に、62種類の放射性物質を低減させる装置。3系統あるうちのB系で18日、処理済みの水(17日採取)から通常の10万倍に相当する1リットル当たり1400万ベクレルの全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が検出され、性能の低下が発覚しました。14日採取分は同110ベクレルで通常値でした。

処理済みの水は、いったん一時貯留タンクに入り、そこから「J1エリア」のタンクに移送されています。J1では容量約1000トンのタンク21基が連結されており、その1つからは同560万ベクレルの全ベータが検出されました(18日採取)。

処理水の分析は週3回。14日採取分は通常値で、18日になって異常が発覚しました。この間にB系で処理した水の量は約900トンと東電はみています。

14-03-21zu 一方、アルプスで処理済みの水は、一時貯留タンクにためた状態で分析し、濃度が高ければ再びアルプスに戻すことができる構造になっていました。しかし東電は、一時貯留タンクの水の分析を行っていませんでした。

東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は19日、タンクヘの汚染水流入を想定していなかった甘さを認めて、「きれいな水を入れたかったタンクを汚い水を入れるタンクとして使うことになった。われわれとしても大きな痛手だ」と述べました。

今回の除去性能の低下の原因について、東電は、アルプスの上流側でフィルターを直前に交換したことが関係している可能性をあげていますが、はっきりしていません。

アルプスの1日当たりの処理量は3系統の合計で最大750トン。東電がアルプスを増設するほか、国もより高性能の装置を開発する予定。東電は、現在タンクに保管している約34万トンの汚染水と、地下水流入で毎日400トン程度増えている汚染水を、2014年度末までに処理する計画を発表しています。

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