東京電力福島第1原発の2号機建屋屋上から排水路を通じて高濃度の放射能汚染水が海洋に流出する状態が長期間続いた問題で、原子力規制委員会が1年以上前に問題を知りながら、東電に流出を防ぐ対策を取らせてこなかったばかりか、測定データさえ把握していなかったことが2月25日、明らかになりました。規制機関としての責任を十分に果たさず、東電まかせにして事実上放置してきた規制委の対応が問われます。
東電は、2013年夏にタンクからの300トン汚染水漏えいが発覚した後、同年11月に漏えいタンクの下流にあるB、C排水路と離れているA、K排水路でも高濃度の汚染水を検出し、分析結果を規制委に報告。翌年1月にも、K排水路の2号機付近で国の放出基準(告示濃度限度)を超える汚染が確認されたことなどを規制委の専門家による検討会に報告していました。
検討会では、この問題で議論したものの、規制委として海への流出を防ぐ手だてを東電に取らせるには至りませんでした。1年以上経過した今月24日になって東電は、昨年4月からの排水路の測定データを公表しました。
規制委は25日、デー夕を知ったのは今回初めてだと明らかにしました。これまでデータを把握できていなかったことについて原子力規制庁の金城慎司事故対策室長は、データを求めていたが東電が提出しなかったと説明。田中俊一規制委員長は会見で、高濃度の汚染水が毎日大量に出続けている状況について問われ、「あの状況のなかでは、まったくそういうことをコントロールできるような状況ではないところもある」と開き直りました。
(「しんぶん赤旗」2015年2月27日より転載)