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「核のゴミ」学術会議提言へ・・「再稼働、将来世代に無責任」 & 処分法変更と回収も・・経産省、基本方針案を了承

 政府に勧告する権限を持つ日本学術会議の検討委員会は2月17日、原発の稼働で発生する使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)についての政策提言案をまとめました。

 原発の再稼働については、安全性の確保と地元の了解だけでなく、核のゴミの「暫定保管施設の確保を条件にすべき」であり、この点を「あいまいにしたままの再稼働は、将来世代に対する無責任を意味するので、容認できない」と批判しています。

 原子力規制委員会による新規制基準の判断だけで再稼働を進める安倍政権の姿勢も批判しています。

 政策提言案は12項目。暫定保管の考え方について、いきなり「地層処分」に向かう中間貯蔵ではないと指摘。地層の安定性に関する研究を進展させるなど、その後のより長期的な期間に責任ある対処方法を検討し、決定する期間を確保するためとして「原則50年」としています。

 暫定保管の方法として、空冷で密封・遮へい機能を持つ容器(キャスク)などで地上保管が望ましいとしています。保管施設は各電力会社の配電圏内の1カ所に、電力会社の自己責任で立地選定と建設が望ましいなどとしています。

 学術会議は2012年9月、核のゴミを地中深くに埋めて処分する国の計画は行き詰まっており、「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」と指摘していました。

 

処分法変更と回収も・・経産省、基本方針案を了承

 原発の使用済み核燃料の再処理で発生する「死の灰」を大量に含む高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)の最終処分について、経済産業省の作業部会が2月17日開かれ、政府が策定する「基本方針」の改定案を大筋で了承しました。処分地を決定し、核のゴミを地中深く埋設した後も、将来の世代が政策の変更や技術開発によって、回収し、処分方法などを見直しできるなどとしました。

 改定案は、処分方法を従来通り、高レベル放射性廃棄物の液体をガラスと固めた核のゴミ(ガラス固化体)を地下300メートル以上の深い地層に埋設する「地層処分」としました。しかし、処分地は、地震・火山大国で長期にわたって地層が安定な場所を見つけることの困難さや国民の不安の声が強いことなどから、見通しが立っていません。このため、政府が「前面に立って」、適性が高い地域とされる「科学的有望地」を示すと明記。関係住民の合意形成を図るため、対話の場が設けられることが望ましいなどとしました。

 一方、将来の世代が、処分地に埋めた後の核のゴミを回収して新たな処分方法を選べるようにすることや、使用済み核燃料を処理せずに地下に埋める「直接処分」の研究を推進するとしました。処分の方法や処分地を選ぶプロセスなどは、内閣府

の原子力委員会が評価するとしました。

 原子力の推進を担ってきた原子力委員会が評価することに対し、複数の委員から「疑問だ」との意見がありました。

 政府は今後、一般から意見を募集し、3月中に閣議決定したいとしています。


 原発ゼロこそ

 核のゴミの処分は行き詰まっており、「トイレなきマンション」に例えられます。原発を再稼働すれば、核のゴミはますます増え、いっそう困難さが増します。原発の再稼働の無謀さを示しており、原発「ゼロ」の判断が欠かせません。

(原発「取材班」)

(「しんぶん赤旗」2015年1月18日より転載)

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