経済産業省は1月末、「長期エネルギー需給見通し小委員会」をスタートさせました。火力、原子力、再生可能エネルギーをどのような比率で組み合わせて2030年時点の総発電量をまかなうのか議論を進めます。原発の比率をいくらにするのかが最大の焦点です。
委員会の議論で、増田寛也元総務相は「電力自由化の中でも実現できる構成を示すため、リプレース(建て替え)の議論をきちんと行うべきだ」と発言。山名元京都大学原子炉実験所教授も「火力、原子力とも古くて危険な施設は早くリプレースを考えよ」と原発の建て替えを求めました。
原発の運転期間は原子炉等規制法によって40年に制限され、廃炉にすることが定められています。2030年時点で、運転期開か40年未満の原発は20基で、総発電量の15%しかまかなえないということで、新増設に乗り出す動きが強まっています。経産省の原子力小委員会で、原発推進派委員は、原発の新増設や建て替えの方針を持つべきだと発言。昨年12月、まとめられた中間整理は原発の建て替えに言及しています。
なにより原発の推進、増設は財界の要求です。経団連は1月に発表した「ビジョン」で、原子力を重要な土台となる電源として活用し、その割合を総発電量の25%超とすること、原子炉の建て替え等を行うことを掲げています。日本原子力産業協会の服部拓也理事長は、30年の発電比率を原子力20%、火力60%、再生20%にするとのべ、さらに、原子力が15、20、25%となった場合の事例研究も求めています。
東京電力福島第1原発の重大事故発生から3年11カ月。その危険性と現状をみれば、「原発」建て替えはありえません。
(川田博子)
(「しんぶん赤旗」2015年2月10日より転載)