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原発低レベル廃棄物 56基で49・6万立方メートル・・再稼働・新設でさらに増

(上の図)福島第1は1~4号=2011年度末時点=と5~6号機=12年度末時点=の合計 浜岡は1~2号機=08度末時点=と3~5号機=12年度末時点=の合計 (下の写真)日本原子力研究開発機構の動力試験炉を廃炉にした際に出た低レベル放射性廃棄物を詰め込んだドラム缶。埋設場所が決まらず、一時保管が続く=2月24日、茨城県東海村
(上の図)福島第1は1~4号=2011年度末時点=と5~6号機=12年度末時点=の合計 浜岡は1~2号機=08度末時点=と3~5号機=12年度末時点=の合計
(下の写真)日本原子力研究開発機構の動力試験炉を廃炉にした際に出た低レベル放射性廃棄物を詰め込んだドラム缶。埋設場所が決まらず、一時保管が続く=2月24日、茨城県東海村

東京電力福島第1原発を含む全国の原発56基を廃炉にした場合、地中に埋めて処分する必要がある低レベル放射性廃棄物が電力各社の見積もりで計49万6000立方メートル以上になることが3月21日、経済産業省資源エネルギー庁への時事通信社の取材で分かりました。廃炉に伴う具体的なごみの量が判明したのは初めて。東京ドームの4割が埋まる規模です。処分地も決まっておらず、発生量をさらに増やす原発の再稼働や新増設の無謀さを浮き彫りにしています。

56基は電力9社と日本原子力発電の商用原発計48基と、既に廃炉が決まっている福島第1原発1~6号機と中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)。これ以外に原電東海原発(茨城県)で廃炉作業が進められています。

原発から出るごみで埋設処分が必要なのは、使用済み核燃料に含まれる高レベル放射性廃棄物と、それ以外の低レベル廃棄物。極めて放射線量が高い高レベル廃棄物に比べれば、低レベル廃棄物の放射線量は低いものの、人間の生活圏から長期間隔離が必要です。

電力各社は廃炉費用を電気料金に上乗せするため、埋設処分が必要な低レベル廃棄物の発生量を見積もり、エネ庁に提出しています。このうち、原子炉で核燃料を入れる圧力容器や臨界を停止させる制御棒など、最も放射性物質濃度が高く危険なごみは「L1」と呼ばれ、地下50メートル以下に埋設します。埋めた後に管理を続ける期間は決まっていませんが、300~400年は必要とみられます。

埋設先が決まらなければ廃炉が遅れたり、原発敷地内で一時保管が続いたりすることになります。56基以外にも電源開発大間原発(青森県)など建設中の原発が稼働すれば、ごみは増え続けます。

低レベル放射性廃棄物・・・原発で発生するごみのうち埋設処分が必要で、使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物以外のもの。放射性物質濃度が高い順に「LI」「L2」「L3」に分類され、埋める深さや方法、管理を続ける期間が異なります。電気事業連合会の試算によると、廃炉にした場合、110万キロワット級の沸脱水型ではL1が約100立方メートル、同規模の加圧水型では約260立方メートル発生します。

原発推進の矛盾深刻

核のごみの問題は、廃炉になっても、放射性物質をいかに扱うことが難しいかを示しており、原発の現状を表す「トイレなきマンション」の象徴となっています。

原発から出る核のごみのうち、使用済み核燃料に含まれる高レベル放射性廃棄物(「死の灰」)は、技術自体が確立されておらず、政府が計画する「地層処分」も、そのめどが全く立っていません。

高レベル放射性廃棄物より放射線量が低いとは言え、300~400年も管理が必要とされる低レベル放射性廃棄物の処分地さえ決まっていない現状で、それをさらに増やすことになる原発の再稼働は無謀でしかありません。これ以上、危険な負の遺産を将来に押しつけないためには、原発「ゼロ」を実現するしかありません。
「原発」取材班

 

核のゴミ処分困難

38年たっても一時保管

廃炉を完了したと言われる原発、日本原子力研究開発機構の「動力試験炉」(茨城県東海村)は、日本初の発電用原子炉で建屋などは撤去されましたが、低レベル放射性廃棄物の一部は埋設処分地が決まっておらず、東海村の同機構の施設で一時保管の状態が続いています。

動力試験炉は1963年10月26日に発電を開始。技術の国産化を目的に76年まで稼働しました。低レベル廃棄物の発生量は3770トン(4170立方メートル)と通常の原発に比べ少ないものの、敷地内に埋設処分できたのは最も危険レベルが低い「L3」の廃棄物だけ。6割は埋設できず、ドラム缶などに詰められ施設内で保管されている状態。

埋設したL3についても、管理の期限は2025年まで。原子力規制委員会は地下水などによって放射性物質が外部に流出しないか定期的に調べるよう義務付ける規制基準を昨年(2013年)12月に施行しており、原子力機構は影響がないか確認する必要があります。

電力会社が300年管理?

原発から出る低レベル放射性廃棄物は、埋設処分した後も長期間管理を続ける必要があります。放射性物質濃度を定期的に把握し、流出や拡散が判明すれば対策を取りますが、責任を負うのは電力会社などの事業者。管理期間が300~400年に及ぶ物もあり、継続的に監視できるかどうかが問題になります。

原子炉等規制法は電力会社が破綻した場合、廃棄物の管理は責任を持って別の事業者に引き継ぐよう定めています。

原子力規制庁によると、低レベル廃棄物の管理をめぐっては、旧原子力安全委員会で議論になったことがあり、海外ではフランスが低レベル廃棄物の管理期間を300年としており、旧安全委はこうした点も踏まえて、基準を300~400年に決めました。

運転中も廃棄物発生

埋設処分が必要な低レベル放射性廃棄物は、廃炉になった時だけでなく運転中にも発生します。多くは青森県六ケ所村の日本原燃の敷地内に埋設されており、既に5万立方メートルを超えました。

運転に伴って発生する低レベル廃棄物には保温材やフィルター、使用済みの樹脂、焼却灰などがあり、放射性物質が付着していたり、中性子を吸収して放射線を出す状態になっていたりします。

六ケ所村で処分されるのは、これらの廃棄物に限定されています。電力会社の区分では「L2」と呼ばれ、1トン当たりの放射性物質濃度はストロンチウム90で10兆ベクレル以下、セシウム137で100兆ベクレル以下などと定められています。
日本原燃の施設ではL2の廃棄物をドラム缶にセメントなどと一緒に詰め、コンクリート製の地下構造物の中に埋めます。管理が必要な期間は300~400年とされ、埋設から30年間は地下水の放射性物質濃度を観測し、外部に漏れていないかなどを確認。その後もパトロールや大気中の放射線量測定を続けます。

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