紀伊半島沖の南海トラフで多発する微小な地震により、周辺の地殻や海が1秒前後の短い周期で振動し続けている現象を発見したと、海洋研究開発機構と名古屋大の研究グループが2月2日までに科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表しました。
海洋機構の利根川貴志研究員によると、この振動の波「音響レーリー波」が海底下の地殻を伝わる速さは、断層などの地下構造によって変化します。このため精密に観測し続ければ、浅い地下の構造を詳細に解明するのに役立ちます。日本海溝などでも観測できると考えられるといいます。
研究チームは2011年9〜12月、紀伊半島沖の海底に水圧の微妙な変動を捉える装置を約150ヵ所、臨時に設置して観測しました。
海洋機構がこの地域の海底で常時運用する地震・津波観測監視システム(DONET)で観測されたマグニチュード3以下の地震との関係を調べると、微小な地震が多発することで周期0・5〜1・4秒の振動が発生し、海水に伝わっていることが分かりました。
大気の風や海の波により起きる地球の振動は、1950年代から周期5〜15秒の「脈動」が知られ、98年には周期数百秒の「常時地球自由振動」が日本の研究者らにより発見されました。地震は発生間隔が不規則なため、これまでは振動の原因になるとは考えられていなかったといいます。
(「しんぶん赤旗」2015年2月3日より転載)