今後の日本のエネルギー政策について1月30日、経済産業省の審議会(長期エネルギー需給見通し小委員会)で議論が始まりました(31日付既報)。2030年時点で国内の電力を何でまかなうか、原子力、火力、再生可能エネルギーなどの「電源構成」(エネルギーミックス)を検討するものです。審議会を傍聴したWWFジャパンの気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之さんに聞きました。
(君塚陽子)
委員長が最後に「まずは再生可能エネルギーと省エネルギーでどのくらい挑戦できるか、みんなで検討し、そこを出発点にしてはどうか」という点は大事で、ここの深掘りをぜひ議論してほしいと思います。
世界の流れは
世界の流れを見れば、少し乱暴な言い方ですが、太陽光や風力など再エネのコストはどんどん安くなり、原発の建設コストはどんどん高くなり、いまは一時的に安い化石燃料も高騰していきます。結局、再エネ、省エネにシフトするのが自然な流れです。
その点で、配られた資料や各委員の発言でエネルギーコスト、すなわち現在の電気料金の上昇を再エネの拡大と結びつけ、″再エネはコスト高につながるから拡大すべきではない″とのシナリオが垣間見えましたが、これは正確ではありません。上昇の背景には円安があり、円安に誘導した政策、アベノミクスがあるからです。
また、原発について、委員の発言にあった、″反対は感情論であり国民に正しく説明せよ″というのでは国民は納得できないと思います。
エネルギー政策は、地球温暖化と大いに関係があります。世界のCO2排出量の半分を占める米国・中国・欧州連合は削減目標を発表しました。世界第5位の排出国である日本も必要な削減量を明確にしてエネルギーミックスに臨むべきです。私たちの暮らしにも大きく関わるだけに国民的な議論にすることが大切です。
政府は国民からの意見も受け付けています。送り方などは、資源エネルギー庁のホームページの「エネルギーミックス意見箱」を参照してください。
(「しんぶん赤旗」2015年2月2日より転載)