地球温暖化が社会や経済にもたらす影響について話し合う国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第2作業部会の会合が、今日から3月29日まで横浜市で開催されます。31日に報告書を公表する予定。原案段階では、対策を講じなければ、今世紀末までに海面上昇や高潮で数億人が移住を迫られるなどと指摘しており、厳しい将来予測が示される見通しです。
昨年(2013年)9月に公表された第1作業部会の報告書は、温暖化が最も進行した場合、今世紀末には世界の平均気温が最大4・8度上昇し、海面水位は同82センチ高くなると予測しました。これを踏まえ、第2作業部会では、懸念される具体的な影響や被害を予測し、報告書にまとめます。
原案は、海面上昇で特に影響を受ける地域として、日本を含む東アジアや東南アジア、南アジアを挙げました。大洪水による年間被害者数について、温室効果ガス削減に取り組まなければ、積極的な対策を講じた場合の3倍に達すると見込みました。
食料分野では、洪水や干ばつの増加などで農作物生産量が10年ごとに最大2%減少するとしました。
IPCC・・気候変動に関する政府間パネルの略。世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が協力し、1988年に設立した国際組織。90年以降、5~6年ごとに最新の科学的知見をまとめた「評価報告書」を作成しています。
三つの作業部会があり、昨年9月に報告書を公表した第1が温暖化に関する科学的分析などを、4月に公表予定の第3が温室効果ガス削減の道筋検討などをそれぞれ担当しています。10月には、各部会の報告を総括し、5回目の評価報告書をまとめる予定。