2013年9月15日に全原発が停止してから、原発稼働ゼロの状況が1年3ヵ月以上続いています。九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)を突破口に各地で再稼働を狙う安倍晋三政権。これに対し、「再稼働反対の世論と運動が、原発にしがみつく勢力を追い詰めています」(日本共産党の志位和夫委員長)。
官邸前で130回超
「川内原発再稼働反対」「原発やめろ。やめられないなら、おまえ(安倍首相)がやめろ」・・。首都圏反原発連合(反原連)が毎週金曜日に行っている首相官邸前抗議行動。今月も千数百人から二千人(主催者発表)が参加し、官邸前と国会正門前で抗議の声をあげ続けています。12月26日は年内最後の行動で、131回を数えました。
反原理は13日、今年最後の大規模デモとして、川内原発の再稼働に反対する「反原発☆渋谷大行進」を行いました。デモ行進しながら、「福島の事故は収束していない」「黙っていると再稼働するから、一緒に声をあげよう」と道行く人たちに訴えました。
参加した東京都大田区の高田知永(ちえ)さん(42)は「地震対策も火山対策も不十分、世論調査でも過半数の人が反対しているのに、再稼働するなんておかしい。表にでて反対といえない人にも『いっていいんだ』ということを伝えたい」と語りました。
3月9日には、「ノーニュークスデー」として「原発ゼロ大統一」行動が繰り広げられました。原発をなくす全国連絡会、反原連、さようなら原発1000万人アクションが呼びかけたもので、3万2000人が参加。集会やデモを行い、「福島を忘れるな」「再稼働反対」「原発ゼロ」を訴えました。
「原発ゼロ」や再稼働反対を訴える全国の定例行動は、本紙の調べで、沖縄県を除く46都道府県の279ヵ所に広がっています。100回を超えるところは86ヵ所。「金曜日行動」は毎週あるいは月2回など158ヵ所にのぼります。
「川内」地元でも
川内原発が立地する薩摩川内市でも再稼働反対の声が広がっています。同市で「さよなら原発いのちの会」が行った住民アンケートには1100通を超える回答が寄せられ、85%が川内原発の再稼働に反対しています。「原発頼みのまちづくりで市の発展があると思うか」との問いには、68%が「発展しない」と答えています。
薩摩川内市や鹿児島県では、再稼働に反対する大規模な集会やデモも行われました。
川内原発の再稼働には、大問題があります。川内原発が巨大噴火を起こす危険のある火山地帯にあり、噴火が原発を襲えば、大惨事になることです。ところが、その対策も住民の避難体制も整っていません。
鹿児島県議会は11月、県内外の反対を押し切って川内原発の再稼働を求める陳情を採択、伊藤祐一郎知事は再稼働を認めました。薩摩川内市の議会と市も、再稼働に同意しました。
安倍首相は、総選挙中、薩摩川内市で、原発や再稼働という言葉をいっさい使わず、「川内の皆さまには九州、そして日本に電力を供給していただき、本当に感謝申しあげる」「しっかりとしたエネルギー政策を進めていく」とのべ、再稼働推進を表明しました。
国民にまともな説明もせず、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて、無謀な再稼働に突き進む安倍政権。これに痛打を与える司法の判断が相次ぎました。
関西電力大飯原発(福井県おおい町)の運転差し止めを命じた福井地裁判決(5月21日)、原発事故で避難生活中に自殺した女性に損害賠償の支払いを命じた福島地裁(8月26日)です。
「国民の脱原発の声を無視し、利権し、利権だけに暴走する政府をいまこそとめるときです」
反原連は、こう討え、来年も9日から官邸前抗議行動を開始します。
原発事故から4年を迎える福島、再稼働が狙われている川内原発や関西電力高浜原発(福井県高浜町)などの原発立地自治体をはじめ、全国各地で、粘り強い行動がつづいています。原発を推進する政治にストップける国民の共同、多彩な運動は、来年も繰り広げられます。
(伊藤紀夫)
(「しんぶん赤旗」2014年12月27日より転載)