東京電力は12月22日、福島第1原発4号機の使用済み核燃料プール内にあった燃料1535体の移動作業を完了したと発表しました。放射線量が高い環境のなか、作業にはのべ約15万人が参加し、事故発生から3年9ヵ月あまりという長期間を要しました。今後、さらに過酷な放射線環境にある1〜3号機プールからも燃料を取り出す必要がありますが、見通しは立っていません。
4号機は、2011年3月の事故発生時に運転停止中。使用済みの燃料集合体1331体と未使用の204体が、建屋上部の燃料プールに保管されていました。事故でプールの冷却装置が停止し、その後、建屋上部が水素爆発で崩壊。燃料が出す熱によってプールの冷却水が蒸発したり、余震で建屋の損傷が進みプールから水が漏れるなどすれば、燃料がむき出しになって、放射性物質が環境中に大量に放出される事態が懸念されました。
東電は、建屋上部やプール内に散乱したがれきを撤去したり、燃料取り出し用カバーを設置。昨年11月、使用済み燃料を取り出して別建屋の共用プールに移動する作業を開始しました。今年11月からは、試験的に先行移動した24体をのぞく未使用燃料180体を、6号機プールに移動する作業を進め、今月22日午後3時すぎ、すべての燃料の移動を完了しました。
東電によると、プールには制御棒などが残されており、今後も冷却を続けます。同日の会見で東電の広瀬直己社長は「これまでに経験のない作業への挑戦だった。作業環境も厳しい状況だった。1、2、3号機での燃料取り出しに、4号機で得た経験をいかしていく」とビデオ映像でコメントしました。
(「しんぶん赤旗」2014年12月24日より転載)