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大間原発の審査申請 ・・電源開発 建設中で初

2012年10月に建設が再開された電源開発(Jパワー)の大間原発(青森県大間町)
2012年10月に建設が再開された電源開発(Jパワー)の大間原発(青森県大間町)

 電源開発(Jパワー)は12月16日、建設中の大間(おおま)原発(青森県大間町)について、稼働開始の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。建設中の原発の申請は初めて。

 大間原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜて作るMOX(モックス)燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を全炉心で使う世界初の「フルMOX」原発。MOX燃料はウラン燃料より、核分裂反応を抑える制御棒の効き方が悪くなるなどの危険性が指摘されているばかりか、燃やしたMOX燃料の行き場もありません。

 規制委の田中俊一委員長は「今の日本が世界でやったことがないことをやること自体が、一般論として非常に難しい」との見解を示しています。同社は2021年度中の稼働開始を目指しています。

 対岸の函館市が今年4月、国と同社を相手取って建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしています。

福島の教訓無視する暴挙 活断層の指摘も・・大間原発審査の申請

 電源開発が12月16日に新規制基準への適合性審査の申請をした大間(おおま)原発(青森県大間町、出力138万キロワット)は、原発の使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムを利用する国の「核燃料サイクル」政策に位置づけられています。しかし、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の操業開始が先延ばしになるなどサイクル政策は破たんしています。

 規制委に申請書を提出した同社の永島順次常務は申請後、記者団に「核燃料サイクル推進のためにぜひとも貢献したい」と述べ、核燃料サイクル政策の推進を明記した安倍政権の「エネルギー基本計画」の位置づけを繰り返すだけでした。

 今回の申請で電源開発は、三陸沖北部の断層が引き起こすマグニチュード8・3の地震などを想定。想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)は650ガル、敷地に到達する津波の高さを6・3メートルとしました。

 しかし、大間原発がある下北半島東の沖には巨大な活断層「大陸棚外縁断層」があり、半島北部沖合にも活断層がある可能性が高いと指摘されています。

 同原発は2008年に工事を着工しましたが、11年3月の東京電力福島第1原発事故の影響を受けて工事を中断。12年10月に、多くの住民の反対を無視して工事を再開しました。

 安倍首相は1月、着工した大間原発などは「新増設に入らない」と発言し、新増設の稼働推進の後押しを表明していました。

 新基準の申請はこれで14原発21基になります。

 

国民を愚弄するもの・・日本共産党青森県議 諏訪益一さん

 今回の申請は、ウランと原爆の材料であるプルトニウムの混合燃料(MOX燃料)を軽水炉で燃やすプルサーマル計画の再開と、六ヶ所再処理施設の本格稼働に突破口を開こうとするもので許されません。

 特に大間原発は、全炉心にMOX燃料を使用する世界初の原子炉であり「温度上昇と制御棒の働きが悪くなり、炉が不安定になる危険性」を多くの科学者が指摘しています。

 また、電源開発は、基準地震動を「450ガルから650ガルにして補強」としていますが、活断層の存在を否定した「安全神話」に基づくもので「絶対安全」とは言い切れません。

 函館市の大間原発建設差し止め訴訟でも「訴訟と審査は別」とする電源開発の姿勢は論外であり、国民を愚弄(ぐろう)しています。

 福島原発事故の最大の教訓は、「人間と共存できない原発・核燃から撤退」することです。この教訓を無視し、建設途上の未完成である大間原発の適合性審査を申請した電源開発に厳しく抗議します。

 

遺憾だ 差し止めを・・函館市がコメント

 電源開発が原子力規制委員会に建設中の大間原発の新基準適合性審査を請求したことについて、函館市は以下のコメントを発表しました。同市は、避難計画の策定が義務づけられる30キロ圏内の自治体で、国と電源開発を相手取って、建設差し止めを求める訴訟を起こしています。

 電源開発は、いまだ住民の不安に対する説明責任を果たそうとせず、大間原発稼働ありきとして、設置変更許可の申請をしたことは、誠に遺憾であり、今後も裁判を通じて、大間原発の建設差し止めを求めてまいります。

(「しんぶん赤旗」2014年12月17日より転載)

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