原子力規制委員会は10月29日、7~9月に行った原子力施設に対する保安検査で、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に設置されているナトリウム漏えい監視カメラの3割が故障したまま放置されていたと明らかにしました。
規制委事務局によると、もんじゅに設置されていた180台の監視カメラのうち、54台が故障。原子力機構は、これらのカメラが生産中止となり、修理対応も終了したとの報告を受けていましたが、取り換えや改造の計画を立てませんでした。
カメラは監視手段の一つと位置づけられていたことから、規制委は「安全に及ぼした影響の程度は小さい」と判断する一方、事業者が定めた保安規定に違反すると指摘しました。
このほか原子力機構に対して、原子力科学研究所で過去3年4カ月間に29件の119番通報があったにもかかわらず、対策の必要性などが組織的に検討されていないなど改善点が指摘されました。
田中俊一委員長は「組織自体が抱えている安全上の大きな問題。安全に対する考え方に少し瑕疵(かし)があるのではないか」と指摘しました。
屋根取り外しあすに延期・・福島第1原発
東京電力は10月28日、福島第1原発1号機原子炉建屋カバーの解体作業で屋根の一部が破損したため、取り外しを1日延期し31日に行うと発表しました。
東電は破損部分から放射性物質が飛散する可能性は低いと説明。補修の必要性などを検討します。周囲の放射性物質濃度に変化はないといいます。
東電によると、トラブルは28日午前8時25分ごろ発生。大型クレーンで装置をつり上げ、屋根に開けた穴から飛散防止剤を散布していたところ、装置が突風にあおられ、周囲の屋根に当たりました。30センチ四方だった穴が割け、底辺1メートル、高さ2メートルの三角形状に広がりました。
東電は風速が平均10メートルに達すると、作業を中止することにしていました。28日は平均1~2メートルでしたが、突風が吹いたといいます。今後は瞬間風速が10メートルを計測したときには、作業を中断するとしています。
(「しんぶん赤旗」2014年10月30日より転載)