原発再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査で、原子力規制委員会は10月29日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の想定する地震の揺れ(基準地震動)について、856ガルへと引き上げた同社の想定をほぼ了承しました。津波の想定(基準津波)については、同社の高浜原発であった計算ミスの影響を調べるため、さらに審査します。
関電は昨年(2013年)7月の申請時、大飯原発の基準地震動を700ガルとしていましたが、審査の中で規制委から三つの活断層が連動する可能性を考慮するよう求められ、759ガルに引き上げました。さらに、予測手法の不確実さを織り込むよう指摘され、今年5月、856ガルに引き上げる方針を示していました。
引き上げに伴って必要な工事は配管補強を中心に数千カ所に上るといい、同社幹部は「年単位はかからないが、時間はかかる」と話しています。
廃炉の廃棄物規制・・基準2段階策定へ/規制委
原子力規制委員会は10月29日、原発を廃炉・解体する際に出る制御棒など原子炉内から生じる放射性廃棄物のうち、半減期(放射能が半分になる期間)の長い放射性核種の濃度が比較的低いものについて、優先的に規制制度や規制基準づくりに着手することを決めました。今後、外部の専門家を含む検討会を設置する予定です。
廃炉に伴い大量の放射性廃棄物が発生しますが、炉内の廃棄物の処分については、原子力委員会が、余裕を持った深度(地表から50メートル以上)で埋設する処分(余裕深度処分)という考え方を1998年に提言しています。
規制委は昨年(2013年)、放射能が比較的低い廃棄物を浅い地中にコンクリート製のピット(箱)に閉じ込めて処分することや、放射能が極めて低い廃棄物を地中にトレンチ(溝)を掘って処分する基準を整備しましたが、「余裕深度処分」の基準は未整備でした。
一方、半減期の長い核種の濃度が高い炉内の廃棄物については、使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物と整合的な検討が必要として、今後の課題として残されました。しかし、高レベル放射性廃棄物の処分方法などは決まっていません。
(「しんぶん赤旗」2014年10月30日より転載)