鹿児島県の薩摩川内(さつませんだい)市議会原子力発電所対策調査特別委員会は10月20日、川内原発1、2号機の「一日も早い再稼働を求める」陳情を賛成多数で採択しました。日本共産党は反対しました。
同陳情は、川内商工会議所など72団体が加盟する薩摩川内市原子力推進期成会が行ったもの。再稼働に反対する10件の陳情は不採択としました。
九州電力川内原発1、2号機を原子力規制委員会が新規制基準に「適合」と決定したことについて住民説明会が県内5カ所で開かれている最中です。この日の夜も、いちき串木野市で説明会が開かれました。
「審議は尽くされていない。拙速な採決はさけるべきだ」(日本共産党の井上勝博市議)などの意見は押し切られ、9人の委員中、審議継続を求めたのは4人で、審議が打ち切られ、採決が強行されました。
再稼働を求める陳情に反対したのは、日本共産党の井上市議と社民党市議の計2人。賛成は6人。公明党市議は棄権しました。
「市民の声聞かないのか」抗議の声相次ぐ
採択が強行された委員会室の内外には住民の怒りの声があふれました。
この日、特別委員会の傍聴を求めて県内外から約70人が詰めかけました。
傍聴席が30人に制限され抽選となり、「全ての人が傍聴できるようにするべきだ」などと抗議の声が相次ぎましたが、市側は聞き入れませんでした。傍聴希望者から「誰のための議会なのか」など、怒りの声が飛びました。
委員会室の外では傍聴できなかった市民らが「住民説明会は終わっていないぞ」「命より金ですか」と声をあげ、「再稼働反対」とコールを続けました。
市民らは特別委員会終了後、市役所前で抗議集会を開きました。日本共産党の井上勝博市議は、「最後までたたかいを広げ、再稼働を断念させよう」と訴えました。
特別委員会開催の直前、市内の住民説明会(9日)に参加できず、20日夜の、いちき串木野市の説明会に参加する薩摩川内市民4人が、各委員あてに陳情の採決をしないよう申し入れました。「原発なくそう九州川内訴訟」の原告団長でもある森永明子さん(43)は、「採決を強行した市議会は、市民の声を最初から聞く気がないとしか思えない」と話していました。
(「しんぶん赤旗」2014年10月21日より転載)