経済産業省は10月15日、有識者による総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会を開き、大規模な太陽光発電の認定を一時停止するなど、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」を見直す検討に入りました。現状について議論し年内に対応策をまとめます。
政府が認定した買い取り対象の設備は9割を太陽光が占めています。電力会社は管内の発電事業者が再生可能エネルギーでつくった電力を買い取る義務がありますが、九州電力や東北電力などは「需要と供給のバランスが崩れる」ことなどを理由に相次いで新規買い取りを中断しました。東京、関西の各電力会社も制限を設けています。
この日、経産省は、太陽光に偏った現状を見直すとして、住宅用以外の太陽光の新たな設備認定を一時的に見合わせることを提起したほか、風力や地熱発電の導入・拡大を促すために必要な送電網の増強、費用負担のあり方について小委員会に論点を示しました。
また買い取り価格の引き下げについて議論します。
制度の開始から2年余りです。今回の制度見直しが再生可能エネルギーの普及・拡大にブレーキをかける危険があります。
解説・・再生エネ普及より再稼働優先か
2011年の東京電力福島第1原発事故以降、再生可能エネルギーの普及は広がりました。
しかし、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合はわずかに2・2%にすぎません。先進国とされるドイツの1割程度です。世界的に日本は大きく後れをとっています。
今回示された制度見直しが、再生可能エネルギーの普及に足かせをはめる可能性があります。原発の再稼働が優先されるようなことは許されません。
再生可能エネルギーの買い取りを中断した電力会社は、「需給バランス」を問題にします。しかし、一部の地域で電力が余って不安定になるなら、電力需要の多い地域の電力会社に引き取ってもらう方法も可能です。
送電線網の整備なども必要ですが、電力会社任せにせず国の財政支援を増やすことが求められます。
電気料金に含まれ、主に原発に使われる電源開発促進税(年間3300億円)を買い取り費用などに使えば、家計の負担を抑えることができます。
(矢守一英)
(しんぶん「赤旗」2014年10月16日付けより転載)