福島第1原発2号機の海側で10月13日に採取した地下水に含まれる放射性物質の濃度が上昇し、放射性セシウムや全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)など5項目で過去最高値を更新しました。東京電力が同日、測定結果を公表しました。同じ井戸の地下水の濃度は前回の9日採取分でも4項目で過去最高値を更新しており、上昇が続いています。
放射性物質濃度が急上昇しているのは、2号機海側にある井戸(1-6)。セシウム134が1リットル当たり6万1000ベクレル(国の放出基準の約1017倍)、セシウム137が同19万ベクレル(国の基準の約2111倍)。全ベータが同780万ベクレル検出されました。全ベータのうちストロンチウム90が半分程度だと仮定すると、国の基準の13万倍に相当する濃度です。
またマンガン54が同700ベクレル、コバルト60が同3600ベクレル検出され、いずれも過去最高値を更新しました。
この井戸ではセシウム134、137と全ベータ、マンガン54の濃度が前々回の2日採取分の約6、7倍に、コバルト60は5倍近くに急上昇しています。東電は、事故発生初期の高濃度汚染水漏れによって周辺に残留していた放射性物質が、台風の大雨などによる地下水位の上昇によって検出されたのではないかと説明しています。
一方、この井戸より海側にある別の井戸で9日に採取された地下水から2日採取分の10倍超、過去最高値の5倍近い同15万ベクレルのトリチウム(3重水素)が検出されました。
東電は、急上昇した井戸と周辺の井戸2カ所について、地下水の濃度測定を週2回から毎日に増やすとしています。
建屋4カ所漏えい検知・・台風19号の影響か
東京電力は10月14日、福島第1原発の原子炉建屋とタービン建屋の計4カ所で漏えい検知器が動作したと発表しました。東電は、台風19号の降雨の影響だと説明しています。
東電によると、漏えい検知器が動作したのは、1、2、4号機の各タービン建屋と3号機の原子炉建屋。同日午前1時30分ごろから3時13分ごろにかけて動作しました。現場状況を確認したところ、2、4号機タービン建屋では搬入口より雨水が吹き込んでおり、1号機タービン建屋には別の建屋から水が流入していました。また、3号機原子炉建屋に設置されたウェブカメラでは、建屋西側からの水の流入が確認されました。
北海道電再値上げ了承・・政府
政府は10月14日、物価問題の関係閣僚会議を開き、北海道電力の家庭向け電気料金の再値上げを了承しました。火力発電の燃料費を削減し、値上げ幅を平均15・33%と北海道電の申請から1・7ポイント圧縮。再値上げを実施する11月から来年(2015年)3月までは、激変緩和措置として12・43%に抑制します。週内にも認可します。
東京電力福島第1原発事故の後、原発停止による収支悪化を理由に、北陸、中国、沖縄を除く電力7社が相次いで本格的な値上げに踏み切りました。北海道電は昨年(2013年)9月に1回目の値上げを行っており、再度の実施は全国で初めて。
(「しんぶん赤旗」2014年10月15日より転載)