「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・弁護団は10月2日夜、「福島の過去・現在・未来を語る」シンポジウムを福島市の音楽堂で開きました。
映画監督の井上淳一さん、元東京電力社員の蓮池透さん、元NHKキャスターの堀潤さんらがパネリストを務めました。
蓮池さんは「第二の故郷」と双葉町や大熊町で東電の技術者として働いていたころを語り、福島第1原発事故後の東電の対応を批判。「他人事(ひとごと)で当事者意識がない」と、東電幹部の加害者意識の希薄さを批判しました。
稼働率を上げること、コストダウンが優先されて、「保守点検の手順書もない」実態で、安全確保が軽視されていたことを明らかにしました。
堀さんは、NHKを辞めた経緯を述べた上で「自分たちで撮って発信していく。一人ひとりが民主主義の参加者だという自覚が大切」と指摘しました。
議論は、どんな時代に生きているのか、「3・11」後を考える発言となりました。
映画「あいときぼうのまち」の脚本を書いた井上さんは、今の日本の現状について「戦争前夜の危機感を持っています。ものすごく危ない。あっという間に侵略戦争を拡大していった戦前に似ている」と警告しました。
原告団長の中島孝さんは「戦争は最大の被害を国民にもたらします。原発即時ゼロとともに戦争反対を訴えたい」と決意を語りました。
司会を務めた馬奈木厳太郎弁護士(弁護団事務局長)は「国はうそをつく。だまされるのはごめんです。生業訴訟は大企業の東電と国を被告にした裁判です。判決は全国に大きな影響をもたらします。勝利判決に向かって突き進んでいこう」と締めくくりました。
(「しんぶん赤旗」2014年10月4日より転載)