東京電力は2008年2月、「福島県沖の海溝沿いで大地震が発生することは否定できない」との専門家の意見を受け、8月下旬から6月上旬ごろまで津波高を試算。15・7メートルなどの数値を得ました。当時、吉田氏はこれを担当する原子力設備管理部長でした。
─10メートル超えの数字を聞いた時の印象は。
「うわあですね。(中略)私などは、最初(東電)に入ったときの津波がチリ津波なんです。高くて3メートルぐらい(中略)津波はそんなものなんだと、それからずうっと30年近くそのイメージでした。10(メートル)とか、10幾つというのは、やはり奇異に感じるというか、そんなのって来るのと」
─防潮堤を造れば周辺地域に迷惑がかかるという理由で防潮堤に否定的だったようだが。
「私が言い出した可能性が高いと思います。(中略)防潮堤の長さにしても何にしても、自分たちだけ助かる長さでやっていいのかという話はした」
─方針について武藤栄原子力・立地副本部長と相談した記憶は。
「社内では、地震の、特に中越沖地震(07年)の対策の会議を社長会という形で月1ぐらいの頻度で、日曜か土曜日に集まってやるというのがありまして、その中で当然のことながら、一番重要なのはお金、お金というとおかしいが、対策費用が非常に大事なことだと思いますから。(中略)対策費用の概略をそのころ、ずっとご説明、毎回しておったんですね」
─どんな高さの津波なのかも話したのか。
「記憶にないんですけれども、もともと防潮堤みたいなお金の、数百億のオーダーが計上されるとなると、それは10メートルぐらいを想定しないと、そんなお金になりませんから」
─社長や会長の反応を覚えているか。
「会長の勝俣さんは、そうなのか、それは確率はどうなんだと。(中略)学者によっていろいろ説が違いますから、そこを詰めてもらっているんですよという話で終わっています」
※対策費用を惜しむ姿勢がありありです。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2014年9月27日より転載)