南海トラフ巨大地震の発生に備え、被害が想定される神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知の7県の沿岸部にある小中学校の7割以上が、学校自体が被害に遭うリスクを警戒していることが東北福祉大の数見隆生教授らの研究グループの調査で分かりました。にもかかわらず、調査対象の学校の約9割が住民の避難場所に指定されており、数見教授らは見直しを求めています。
調査は昨年(2013年)2~3月、7県の海岸や河川から4キロ以内にある小中学校計1436校にアンケート用紙を郵送して実施。815校から回答を得ました。
それによると、90・2%に当たる735校が災害時の避難場所に指定されていることが判明。600校(73・6%)が「津波のリスクを認識している」と回答し、理由として「海への近さ」「海抜の低さ」「近隣に高台がない」などを挙げました。
815校のうち354校は自治体のハザードマップ上で津波浸水区域にあり、①海岸か
ら1キロ以内②海抜5メートル以下③近隣に避難できる高台がない・・の条件がそろった「津波のハイリスク校」も50校ありました。
東日本大震災の津波で児童ら84人の犠牲を出した宮城県石巻市の大川小学校も浸水区域外にあり、避難場所に指定されていました。数見教授は、大川小学校の事故検証委員会の委員も務めており、このような東北の教訓を発信する目的で調査を始めたといいます。
数見教授は「常に津波を意識し、学校や教師は主体的に行政や地域住民に働き掛け、避難場所の設定など事前に対応を協議するべきだ」と3者の連携を呼び掛けています。