関西電力が、運転開始から40年以上経過している美浜原発1、2号機(福井県美浜町)について、廃炉を含めた検討をしていることが9月5日、分かりました。原発を40年以上運転させる場合、原発の劣化状況を把握するための「特別点検」が必要で、安全対策などの審査対応のためのコストが一段と増え、運転しても採算が悪化することを懸念したと考えられます。
関電が廃炉を決めれば、老朽化に伴う廃炉は、中部電力の浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)以来となります。 関電の美浜1号機は1970年の運転で現在ある48基の原発の中で2番目に古い原発。2号機は72年に運転を始め、1991年には冷却材喪失事故が発生し、炉心損傷一歩手前の事態になっています。76年に運転を始めた3号機も老朽化が原因で、2004年にタービン建屋で配管が破断する事故が起き作業員5人が死亡、6人が重傷を負っています。
また、3号磯を含めた同原発原子炉直下には活断層の可能性が指摘される破砕帯(断層)が走っており、昨年(2013年)末に原子力規制委員会が現地調査を行っています。活断層と判断されれば廃炉になる可能性があります。 昨年施行された「改正」原子炉等規制法で、運転期間が40年以上の原発を20年延長する場合、原子炉圧力容器などの劣化を詳細に調べる「特別点検」を実施した上で2015年7月までに原子力規制委員会に規制基準への適合性審査を申請する必要があります。
関電の八木誠社長は「特別点検を行わないことは、廃炉を意味する」と説明。運転後の採算性や廃炉に対する政府の支援措置なども視野に、年内にも最終判断する方針です。
(「しんぶん赤旗」2014年9月6日付けより転載)