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インド・ウラン鉱山の村で(1) 平均寿命以下15%多い・・放射能汚染関連か

 

村の道路を、ウラン鉱石や鉱石の破砕くずを満載したトラックがひんぱんに通ります=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県
村の道路を、ウラン鉱石や鉱石の破砕くずを満載したトラックがひんぱんに通ります=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

 インド東部ジャル力ンド州。州内有数の工業都市ジャムシェドプルから約35キロ、東で1時間。ヤシやシュロの林の間に水田が散在する農村地帯に、インド・ウラン公社(UCIL)がウランを採掘する「ジャドゥゴラ鉱山」はあります。

 同鉱山は1967年、国内初のウラン鉱山として操業を開始。以来40年以上、採掘と精製を続けてきました。従業員5千人。地下数百メートルから運ばれた鉱石を破砕し、ウラン濃度を高めた粗製物の状態で出荷。国内のプラントで核燃料などに加工されます。

 インドは74年の核実験による国際社会の制裁で、海外から核物質や核技術の輸入ができない状態が続きました。しかし98年には独自で核実験を行い、核保有を宣言。この間の核開発を支えたのが、公社が生産するウランでした。

 「公社が来たとき、住民はウランのことなど何も知らなかった。『鉱山が操業すれば雇用も生まれ、地域が発展する』といわれ、みんな歓迎した」。公社本社があるジャドゥゴラ村の男性住人はこう振り返ります。

 

先天異常やがん

 住民団体「放射能に反対するジャルカンド人組織」(JOAR)のガナシャム・ビルリ議長(50)によると、80年代ごろまでに住民は、先天異常やがんが増えていることに気付き始めたといいます。

 住民の訴えなどで90年代から、環境団体や反核団体などが数回にわたって現地調査を実施。放射能汚染などの可能性を指摘してきました。

 そのうちの一つ、医師の全国団体「平和と開発のためのインド人医師」が2007年に実施した調査は、鉱山から半径2・5キロ以内の村に住む2118世帯のデータを、約30キロ離れた村の1904世帯と比較しました。

 この調査で、鉱山周辺の村では▽四肢などの先天異常の発生率が1・8倍▽先天異常による子どもの死亡率が5・8倍▽不妊、がん発生率がそれぞれI・5倍・・との結果が出ました。

 

ウラン鉱山から3キロの池で水浴し、服を洗う男性。鉱山の操業による水質汚染の疑いが指摘されています=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県
ウラン鉱山から3キロの池で水浴し、服を洗う男性。鉱山の操業による水質汚染の疑いが指摘されています=8月8日、インド東部ジャルカンド州東シングブム県

操業関わる被害

 比較対象の村より収入レベルは高いにもかかわらず、州の平均寿命(62歳)以下で死亡した人は15%多かったといいます。

 調査報告書はこれらの健康被害の原因を特定していません。しかし飛散した放射性物質による被ばくや、鉱物の化学的毒性が背景にある可能性を強く示唆。「ウラン鉱山の操業に関わる健康被害であると考えられる」と結論付けています。(インド東部ジャル力ンド州ジャドゥゴラ=安川崇 写真も)

(つづく)

(「しんぶん赤旗」2014年8月26日より転載)

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