原子力規制委員会は8月25日、原発周辺の火山活動の監視に関する検討チームの初会合を開きました。九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の審査書案で、大規模な噴火の前兆を把握し、対応できるとした規制委や九電の見解に対し、専門家から異論が噴出しました。
石原和弘京都大学名誉教授は「GPS(全地球測位システム)と地震観測、監視カメラで噴火予知はできるというのは思い込み、俗説、誤解」と批判。
火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東京大学名誉教授は、川内原発の適合性審査において、巨大噴火によって同原発に「影響を及ぼす可能性は十分小さい」とするなどの根拠の一つになった論文について、「言の論文だけ」頼るのは非常に危険だ」と強調。論文は、カルデラ噴火一般について述べたものではなく、監視で巨大噴火を検知できるとするのは、全ての例に当てはまらない可能性があるなどと指摘しました。
中田節也東京大学教授は「巨大噴火の時期や規模を予測することは現在の火山学では極めて困難、無理」と断言。また、巨大噴火の前兆をとらえて通常の避難は可能だが、核燃料の搬出に間に合う「数年、あるいは10年という単位では、とても、この(前兆)現象は見えるものではない」と述べました。
規制委は9月2日にも、今回の意見も踏まえて基本的考え方をまとめる方針です。
(「しんぶん赤旗」2014年8月26日より転載)