宮城県で、放射性物質による「指定廃棄物」の最終処分場建設を、環境省が栗原市、加美町、大和町の3市町を候補地とし、住民の合意なく建設を進めている問題に対して、自治体や住民から反対の
運動が起こっています。
(高橋拓丸)
村井嘉浩知事は8月7日、石原仲晃環境相と会談して、処分場建設地を絞り込むために国が行う詳細調査を、候補地3市町で受け入れることを表明しました。国は宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県に処分場を建設する方針ですが、詳細調査を受け入れたのは宮城県が初めてです。
県内の候補地3市町は、いずれも水源地にあります。個別的には、▽栗原市は宮城内陸地震の崩落地▽加美町は基準以上の傾斜があり地滑り対策が必要とされている土地▽大和町は自衛隊の誤射による着弾があった演習場の緩衝地帯・・などの問題を抱えており、いずれも自治体や住民が反対の運動を展開しています。
県庁前では4日、住民ら200人が駆けつけ、詳細調査受け入れ反対の集会を開きました。1日に加美町で行われた村井知事と猪股洋文町長の懇談では、会場となった加美町役場前に、農業団体や商工会など42団体で結成した「放射性廃棄物最終処分場建設に断固反対する会」から約350人が集結。到着した村井知事に「詳細調査反対」「農地を汚すな」と抗議の声を上げました。
日本共産党宮城県議団と栗原市議団、大崎市議団、関係町議らはこれまで、3地域を視察し、いずれも建設不適地であると確認。遠藤いく子県議団幹事長は「東京電力の負担と責任をはっきりさせ、国は国民の命と健康を守る立場を貫くべきです」と話し、市町村と住民に負担を押し付ける国と村井知事の市政を批判しました。
放射性物質汚染対処特措法・・
東京電力福島原発事故で放出・拡散された放射性物質による汚染への対処に関する特別措置法。2011年8月に公布、12年1月に全面施行。法の枠組みとしては、「指定廃棄物」の最終処分場を、住民の合意を必要とせずに建設を進めることができるもの。さらに、放射性セシウム濃度が800ベクレル(1キロあたり)を超えるものは「指定廃棄物」として国が処分に責任をもつが、それ以下の廃棄物は市町村に処分を丸投げする内容です。
(「しんぶん赤旗」2014年8月16日より転載)