東京電力福島第1原発1〜4号機建屋周辺の地下水を放射性物質濃度を下げた上で海に放出する計画で、東電は8月13日、過去に高濃度のトリチウムが検出された井戸1基を、試験的なくみ上げの対象から除外したと発表しました。
東電によると、除外を決めた井戸は1号機海側にあり、昨年(2013年)11月に調べたところ、トリチウム(3重水素)が法令上、海に流せる基準値(1リットル当たり6万ベクレル)を超える同9万6000ベクレル検出されました。この値は、地下水バイパスで東電が設定した基準値(同1500ベクレル)の64倍。また、今回のくみ上げ試験の対象になっていない4号機山側にある別の井戸でも、今年5月に同1万3000ベクレルと高い値を検出しています。
くみ上げ試験は、建屋周辺の42基の井戸のうち、準備が整った14基を対象に開始。除外を決めた井戸はポンプなどの動作確認にとどめ、また水がなかった
井戸3本を除いた残りの10基を使って19日までに約500トンをくみ上げます。その後、くみ上げた水を新設した浄化設備に送り、放射性物質の濃度を下げる性能の試験を行う予定。この設備ではトリチウムを取り除くことはできません。
避難計画なしの再稼働反対陳情・・薩摩川内市の自治会
九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の再稼働について薩摩川内市の自治会が、岩切秀雄市長と市議会議長あてに、避難計画が完成しない限り再稼働に同意しないよう求める陳情を8月13日提出しました。再稼働について自治会が陳情するのは初めてのことです。
陳情を出しだのは、原発から約12キロに位置する同市の山之口自治会で、52世帯、128人が加入しています。
自治会の川畑清明会長(58)によると、7月に市から避難計画についての説明を受けた住民から「被ばくなしの避難は想像できない」などの不安が相次いだことから全世帯対象にアンケートを実施。回答のあった40世帯中29世帯が陳情提出に賛同しました。
川畑会長は、「再稼働に前のめりな市長と先行して同意する議会には、住民の思いを重く受け止めてもらいたい」と話し、同様の動きが自治会単位で広がってほしいと話しました。
陳情書は、市民の生命と財産を守る責任は市長にあり、全市民が納得できる避難計画が完成するまでは再稼働には同意しないこと、全県民で議論することを求めています。
(「しんぶん赤旗」2014年8月15日より転載)