東京電力福島第1原発事故で避難を強いられた福島県双葉郡の、学校をどう復興させるかをめぐり、同郡8町村の教育長らは、教育復興構想への子どもや保護者の声を聞く「双葉郡子ども未来会議」を県内各地で開いています。
会議では「双葉郡のために、私たちの手で最高の学校をつくりましょう!」(楢葉町出身の高校1年生のまとめの発言)など、復興への声が交わされています。
8町村のうち、広野町と川内村の小中学校は元の校舎に戻り、6町は避難先で開校しています。小中学生は8町村で事故当時6400人いました。いま通うのは11・4%の730人です。
復興構想は、この現実に挑み、「双葉郡の復興や持続可能な地域づくりに貢献する」
「子どもたちの実践的な学びで地域を活性化し、復興につなげる」ことをめざし、郡の幼小中高校を創設するなどとしています。
議論は昨年(2013年)3月からことし3月まで、8回計41時間半におよびます。小中高校生156人、保護者65人など556人が参加。子ども、保護者、教職員が同じテーブルにつきます。
会議を主催する「双葉郡教育復興ビジョン推進協議会」に加わっている福島大、県教委、文部科学省、復興庁の関係者もそのテーブルに加わります。
子どもたちからは多彩な意見があがり、それはテーブル上やボードに書き込まれていきます。(別項参照)
会津学鳳高校2年の横川成美さん(17)は、「小学生からおとなまで広く実りある意見交換ができました。生み出された意見は、私たちのほんとうの気持ちです。双葉郡の子どもたちが大きな翼を広げて羽ばたいていける土台になってほしい」といいます。
保護者からも率直な声があいつぎました。
「双葉郡で就職ができ、町の再生にかかわることができるという希望をもたらす学校を」との声もありました。
広野町の母親(46)は、「子どもや保護者のなまの声を直接聞いてくれます。こうやって学校をつくるって、すばらしい。今後も続けてほしい」と話します。
双葉郡教育長会の会長で大熊町教育長の武内敏英さんは、「子どもの声を十分に受けとめたい。2017年度からはじまる中高一貫校にとり入れられるものはとり入れたい」と語ります。
論議のなかで浮かび上がったおもなテーマ
夢を見つけられるたくさんの「小さな窓」/個性を伸ばす、楽しい学びのきっかけ/体験を重視する「動く授業」/世界とつながる/双葉郡ならではの学習内容=復興、歴史と伝統の継承、エネルギー/生徒の主体的参画でつくる学校/地域の人たちが集い、みんなでつくる学校/避難している友だちとの再会の機会/鍛える学校/給食メニューヘの子どもの参画