福島第1原発の地下などにたまった汚染水の放射能濃度を東京電力が過小評価していた問題で、東電は4月11日、原子力規制委員会の作業部会にデータの修正値を報告しました。過小評価はベータ線の計測方法が不適切だったことによるもので、地下水の放射能濃度が当初発表の44倍に修正される例もありました。また昨年(2013年)タンクから漏れた300トンの汚染水の濃度は3・5倍に補正されました。
東電が提出した資料によると、計測データを修正したのは、昨年2~9月に採取したタンク漏えい水、土壌、地下水、建屋地下やトレンチ(海側に延びる地下トンネル)などにたまった汚染水の全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)濃度で、計168件。
海側の井戸の地下水(昨年7月9日採取)では、1リットル当たり89万ベクレルと当初公表されたものが同3900万ベクレルと、約44倍に修正されました。
昨年8月に発覚したタンクからの汚染水300トンの漏えいでは、当初は同8000万ベクレルとされた濃度が同2億8000万ベクレルに補正されました。この事故について規制委は、国際原子力事故評価尺度(INES)の「レベル3(重大な異常事象)」に相当すると暫定評価。その際に考慮された汚染水漏えいの総量の推定値が、24兆ベクレルから3・5倍の84兆ベクレルになる計算です。
一方、2号機トレンチの汚染水(昨年7月26日採取)は再分析によって、約3倍の同22億ベクレルに修正されました。
今回の計測ミスをめぐっては、全ベータとストロンチウム90の測定値が矛盾するとして東電がストロンチウム90のデータを半年間も公表しなかったうえに、今年になって全ベータの公表値に誤りがある可能性を明らかにしました。