信金理事長・小説家・大学教授・・不屈に地道に
九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働に反対して6月1日に国会周辺で行われた「官邸・国会前☆大抗議」。国会正門前では著名人らがスピーチしました。
城南信用金庫の吉原毅理事長は、使用済み核燃料の処理問題などをあげ、「原発のコストが安いというのはまったくのウソ。国家ぐるみの粉飾決算だ。原発を動かし続ければ、日本の国土を奪い、膨大なツケを回すことになる。日本経済を再生し、生活を守るために原発を止めよう」と語りました。
ドイツ文学翻訳家の池田香代子氏は、大飯原発の再稼働差し止めを命じた福井地裁の判決について、人格権が何よりも重要とした画期的な判決だと強調。「世論調査でも80%以上の人が原発に反対している。脱原発の流れは止められない」とのべました。
小説家で東北芸術工科大学の山川健一教授は、「3・11以降、原発の爆発によって悲劇が続いているにもかかわらず、事故がなかったかのように再稼働しようとしている。川内原発の再稼働を阻止することは、全国の原発の再稼働を止める第一歩になる。不屈の意思で、地道なたたかいを続けていこう」と話しました。
元原子炉格納容器設計者の後藤政志氏は、「福島第1原発の2号機、3号機は格納容器が壊れているが、原因がわかっている人は1人もいない。そんな状況で、技術者として再稼働はありえない」と話しました。
慶応大学の小熊英二教授は、「今、原発は一つも動いていません。原発事故以降、社会は大きく変わっています。変わっていないのは原発を推進する政府の姿勢だけです。政府の姿勢を、社会の流れにあわせよう」と訴えました。
共産党国会議員・立地自治体議員・・大飯判決力に
「官邸・国会前☆大抗議」では、日本共産党の議員もスピーチしました。
笠井亮衆院議員は、川内原発をかかえる鹿児島県の避難計画には高齢者や子ども、入院患者などの要援護者を対象から外していると指摘。「事故が起きれば避難することもできないのに再稼働するべきでない」と語り、「原発はゼロに」と訴えました。
吉良よし子参院議員は大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決にふれて、「判決はコストより命といっています。これを力に再稼働反対、廃炉の声をつきつけましょう」と語りました。
原発立地自治体からも議員が参加。鹿児島県薩摩川内市から参加した井上勝博市議は、反原連が作成したリーフと一緒にアンケートを市内で配布したことを報告。これまでアンケートに750通の返信があり、84%が再稼働に反対だったことを紹介しました。「原発立地自治体の世論は変わりはじめています。市民の声を突きつけて、川内原発の再稼働を阻止しましょう」と話しました。
「反原理が100回を超える首相官邸前抗議行動に取り組んできたことに敬意を表します」と話した愛媛県八幡浜市の遠藤素子市議は、「ひとたび伊方原発で事故が起きれば、市民のくらしも未来も奪われてしまいます。原発は決して住民のためにあるわけではありません」と訴え、「これからも一緒に声をあげて日本から、世界から、原発をなくしましょう」と呼びかけました。
この日は、民主党、生活の党、社民党、無所属の国会議員や、原発立地自治体の地方議員もスピーチしました。
国民尊重して・未来に責任を・・若者たち声上げる
太陽が照りつけ気温30度を超えたなか、首相官邸前と国会議事堂周辺で行われた1日の反原連主催の「官邸・国会前☆大抗議」。若者の姿も目立ち、「原発なくせ!」「再稼働NO」と力強く声を上げました。
「怒りと疑問を持って参加した」と話す神奈川県内の男子学生(18)は、「政府は補助金で地方に原発を受け入れさせ、まるで弱いものを食い物にしている」と語ります。「支持政党や考え方は違うけど、反原発で1つになってたたかっている姿を感じられてすばらしいと思った」
友人の男子学生(18)もうなずきます。「核のゴミ問題はめどがたってないのに、後の世代に押しつけようとしていて許せない。若い人にもっと関心を持ってほしいです」
官邸前行動は初参加という都内の男子学生(18)は、今の政治は国民一人ひとりを尊重していないと憤ります。「以前はデモという手段に疑問を持っていましたが、この現状を変えるにはデモをすることが大切だと気づきました。どうにかして再稼働を阻止しなければ」と語ります。
埼玉県所沢市の会社員、並川聡子さん(32)は午前中も別の反原発デモに参加してきました。「原発がひとたび事故を起こせば、住んでいた人は生業(なりわい)を奪われ、いまだに帰れない人もいる。国民の声を無視し続ける政府にはもう政治は任せられません」といいます。
東京都文京区の男性(31)は、職場の仲間とともに「原発ゼロの日本Yes!」と書いたそろいのうちわを持って参加しました。「大飯原発の運転差し止め判決が出たにもかかわらず、再稼働推進をあきらめないのは許されない。3年前の事故で最悪の事態になっても日本政府の姿勢は変わらないことが分かりました。再稼働阻止へあきらめずに頑張りたい」
地方から参加した人たちの姿も多くありました。福島県田村市から1人で来たという会社員の女性(29)は、「こういうデモは初めてです。こんなに人が集まるなんてすごいですね。地元では原発に対して思っていることがあっても、行動に移すのは難しい。原発がなくてもやっていけるなら、ない方がいいです」と語りました。
長野市から出張のついでに初参加した中村吉尚(よしひさ)さん(38)も力をこめて訴えました。「地元は柏崎刈羽原発から80キロ圏内です。事故がもう起きないとは言えない。″想定外″という言葉を政府に二度と使わせないよう、未来への責任として一日でも早く原発をなくしたい」
(「しんぶん赤旗」2014年6月2日より転載)