原子力規制委員会は5月28日、セシウム137が100テラ(1テラは1兆)ベクレル放出されるような事故があった場合の周辺住民の被ばくについての試算を発表しました。同日開かれた定例会で説明されました。
原子力規制委員会の新規制基準の目標では、セシウム137の放出量が100テラベクレルを超えるような事故は、1原発当たり100万年に1同程度を超えないよう求めています。福島第1原発事故ではこの100倍程度のセシウム137が放出されたと考えられています。
試算の結果、5キロ以遠では、「屋内退避を中心に行うことが合理的」とし、5キロ圏以内では、「予防的に避難を行うことが基本」と評価。5キロ以遠の要援護者については「無理な避難を行わず、屋内退避を行うとともに、安定ヨウ素剤を服用することが合理的」であるとする評価を示しました。
規制委は、自治体が原子力防災計画を作る際に、参考にしてほしいとしています。
試算は、出力80万キロワットの加圧水型原発で、事故から12時間後に、5時間にわたってセシウム137が100テラベクレルが環境中に放出されるなどとしました。
定例会では、大島賢三委員は「防災・避難計画を作るにあたって政府全体として、もう少しきちんとした対応が必要なのではないか」と述べ、米国では米連邦緊急事態管理庁が緊急時の計画づくりに強く関与していることを挙げました。
(「しんぶん赤旗」2014年5月29日より転載)