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「再稼働早く」規制委に圧力・・関西・九州の経済団体「値上げで負担増」「突電電気止まる」

原子力規制庁に申し入れる九州と関西の経済団体の代表=5月14日
原子力規制庁に申し入れる九州と関西の経済団体の代表=5月14日(写真=NHKニュースより=山本雅彦)

 関西経済連合会(関経連)と九州経済連合会(九経連)の代表は5月14日、東京都港区の原子力規制庁を訪れ、「一刻も早い再稼働を」と規制委による原発審査を迅速化するように求めました。両団体は先月、連名で原子力規制委員会、政府、衆院原子力問題調査特別委員会、自民党に対して、「原子力発電所の一刻も早い再稼働を求める」とする要望書を送付しています。

 訪問したのは佐藤広士・関経連副会長(神戸製鋼所会長)、麻生泰・九経連会長(麻生セメント社長)ら6人。面会した池田克彦・規制庁長官は冒頭、「(規制委、規制庁は)エネルギー政策を所管するところではない」と話しました。

 しかし、両団体は「電気料金の値上げによる負担増で、一刻も早く(再稼働)しないと、えらいことになる」(石原進・九州旅客鉄道会長)、「原発は安価で安定したエネルギー。再稼働しないと、ある日突然電気が止まるリスクがある」(佐藤関経連副会長)、「規制委の審査の終了時期のめどを示してほしい」(古川実・日立造船会長)などと、早く再稼働するよう、対応を迫りました。

 また、両団体は松島みどり経産省副大臣と会談。佐藤関経連副会長は「なぜ原発が要るのか世論を喚起しようと合意した」と話しました。

 連名で出された要望書は、政府が閣議決定したエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」としたことを受け、審査のあり方を見直し、「審査の効率化」などを求めています。

 

「安全より利益」の露骨な態度

 「ありていに申し上げますと原発再稼働を早急にお願いしたいということ」・・。会談の冒頭、関経連の佐藤副会長が述べたように、関経連、九経連の規制委への要請は、再稼働に前のめりな政府に後押しされた露骨な圧力です。

 両団体は、規制委による新基準の適合性審査が遅れていると強調しましたが、その要因は電力会社の姿勢にあります。

 福島第1原発の事故では、6基のうち3基で、地震の揺れが想定を上回りました。電力会社は基準地震動(予想される最大の揺れ)を見直すことが求められていますが、それに伴う追加工事の負担を回避しようと、その引き上げに消極的です。基準地震動を引き上げて規制委も妥当と認めた九州電力川内原発(鹿児島県)では、それに基づき九電が握出した申請書に27項目42件の不備があるなど、電力会社の対応は問題だらけです。

 規制委の田中俊一委員長が先月、「福島の事故で何を学んだのか」と、審査での電力会社の姿勢を批判しているほどです。

 川内原発について地元の「南日本新聞」が4月に行った鹿児島県内の世論調査(5月5日付)では、「再稼働反対」が前年より2・8ポイント高い59%。その理由は「福島の事故の原因が究明されていない」が最多の44%、「できるだけ早く再生可能エネルギーに移行すべき」が40・8%、「安全性に疑問がある」が38%でした。

 両団体の今回の動きは、安全より利益を最優先し、世論を踏みにじるものです。

(柴田善太)

(「しんぶん赤旗」2014年5月15日より転載。写真=NHKより=山本雅彦)

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