【ベルリン=時事】ドイツ政府は原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の設置場所について、2031年までに決めることで各州政府や主要政党と合意しました。北部ゴアレーベンを候補地とした旧西独政府の1977年の決定は住民の反対で撤回。選定作業は36年間に及ぶ議論の末、振り出しに戻りました。
アルトマイヤー環境相は「合意は最終処分場をめぐる長年の紛争に終止符を打つ突破口と強調しましたが、新たな負担を求められる電力会社は反発。新候補地周辺の住民の理解が得られるかどうかも不透明です。
東京電力福島第1原発の事故を受け、22年までの脱原発を決めたドイツでも、放射性廃棄物は残るため、処分場の建設が課題となっています。計画では、政治家や財界人ら各界の代表24人から成る新設の委員会が15年末までに選定基準を提言。これを基に31年までに処分場の候補地を決め、40年までに建設します。
旧西独政府は旧東独との国境に近く、強固な岩塩層が広がるゴアレーベンを候補地に選び、探査を開始しました。しかし、地下水を通して放射性物質が漏れる危険性が指摘され、住民は激しい反対運動を展開。政府は計画を白紙に戻しました。ただ、新たな選考でゴアレーベンが再び候補地となる可能性もあります。
新候補地の選定には20億ユーロ(約2600億円)の調査費が掛かる見込みで、政府は電力各社に負担を求めています。これに対し、ゴアレーベンの建設計画に既に16億ユーロ(約2100億円)を拠出している電力業界は「さらに負担する法的根拠はない」と不快感を表明。「ゴアレーベンが適地ではないとの結論は出ておらず、新たな調査は不要」と主張しています。