春男 地下水が流入しているためにタンクに入れないといけない汚染水が増え続けていることはわかったよ。東京電力はどれぐらいタンクを用意しているの?
あやめ 約32万トン分よ。
春男 えっ、そんなに。
100日分しかない
あやめ でも、もう約28万トン分は入ってしまっているの。1日400トンずつ増えていくわけだから、残りが約4万トンあるといっても、あと100日分しかないわ。
春男 そうか。でも、それなら東電はもっと積極的にタンクをつくって置くべきだったと思うけど。
あやめ その通りよ。東電は、原子炉建屋やタービン建屋の地下に最大で1日に500トンも地下水が流入していることをおととしの9月には認めていたんですもの。
春男 早くから知っていたんだ。
あやめ 東電は口を開けば70万トン分用意するといってきた。それだって2年半ぐらいしかもたないけど、それすらあらかじめ用意しておこうとはしてこなかった。
春男 地下貯水槽というのは?
あやめ もともと今度漏れたような放射性物質をたくさん含んだ汚染水を入れる目的じゃなくて、″真水″のようなものを入れると言っていた。タンクが足りなくなりそうになってあわてて地下貯水槽に入れることにしたの。
春男 なるほど。地下貯水槽といっても、ごみ処分場と同じ構造で、水を入れておけるようなものじゃなかったらしいものね。でも、仮に今度のように漏れなかったとしても一時しのぎにすぎないだろう。東電はタンクをつくらずにすませるような何かあてがあったのかな?
あやめ それが大ありだったの。最終的には海へ捨てればいいと思ってるのよ。
春男 えっ、放射性物質がたくさん入った汚染水をかい?
あやめ そうじゃなくて、東電はいま「多核種除去設備(アルプス)」という装置の試運転をしているんだけど、それで、汚染水に含まれている放射性物質の濃度を法令限度以下に下げられると言ってるの。それがさっきいった″真水″というわけ。
春男 国が決めた基準以下だからいいというわけか。
あやめ 仮にアルプスの性能が東電の説明通りだとしても、それでいいということにはならないわ。
春男 どういうこと?
あやめ トリチウム(3重水素)という放射性物質はアルプスでも取り除けないことははっきりしているからよ。汚染水にはトリチウムがたくさん含まれているわ。
春男 東電はほんとうに海へ捨てようとしているのかな? そんなことしたら、漁業の人たちが因ってしまうだろう。
井上議員質問で
あやめ でも、東電はあきらめていないわ。4月23日の参議院予算委員会で日本共産党の井上哲士議員がこの問題で質問したら、東電の広瀬直己社長は「安易には行わない」と言っていたわ。ということは安易でなければ行うということでしょう。
春男 海へ捨てることを前提にタンクの増設を怠ってきたのなら許せないね。東電まかせにはしておけない。
(つづく)