日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 「収束」に程遠い福島第1原発 汚染水編⑤・・国の責任どうなの?

「収束」に程遠い福島第1原発 汚染水編⑤・・国の責任どうなの?

春男 汚染水をめぐる状況がここまで深刻になっているのは、東京電力がその場しのぎの対応をしてきたからだけでなく、国の責任が大きいと思うけど。

あやめ そうね。たとえば地下貯水槽の設置はじめ汚染水対策の計画に、ゴーサインを出したのは旧経済産業省原子力安全・保安院だったよね。

春男 そうそう。計画について専門家の意見を聞く会議で、東電は貯水槽に使った防水シートで水漏れがあった例を知りながら、シートを3重にしているから″大丈夫″と説明し、保安院も、それをうのみにして「問題ない」とお墨付きを与えていたね。

監視したか疑問

あやめ 貯水槽が完成したのは原子力規制委員会ができてから。だけど、規制委もほとんど問題にしてこなかったし、規制機関として監視してきたのか、すごく疑問よ。

春男 規制委の保安検査官の配置だって、他の原発と同じ体制だったそうじゃないか。福島第1原発の現状に対する認識がその程度だったと言われても仕方がない。

あやめ それは言える。現状は綱渡り状態どころか、その綱が先細りしている。汚染水をためている現在の鋼製タンクの増設計画は、敷地に限りがあるから2年半先までしか想定していない。しかもタンクの耐用年数は10年といわれている。溶接せずにボルト止めで造ったタンクもあって、ボルトの接合部の寿命は5年しかなくて、長期に保管する用途ではないのよ。

春男 片や、地下水が建屋内に流入するのを止める方策はめどが立っていないしね。

あやめ 建屋の地下にたまっている未処理の高濃度汚染水のこともあるわ。大きな津波にでも襲われでもしたらと思うと、ぞっとするもの。

春男 心配は他にもある。汚染水を処理する設備は長さ4キロメートルに及ぶホースなどで結んだ応急的なものだろ。汚染水漏れの危険を少なくするため、なんとかしないといけない。

労働環境も課題

あやめ 現場で従事する作業員の労働環境をよくしていく課題もあるよ。

春男 そうだ。東電任せでは、問題が解決するどころか、汚染水漏れなど被害を広げかねない。東電任せはもう限界だね。

あやめ 日本共産党の志位和夫委員長たちが3月9日、福島第1原発を視察したことがあったでしょ。志位委員長は、汚染水の深刻な状態を目の当たりにして「収束、廃炉の仕事は、国の総力をあげてやりきっていくべき大仕事」と言っていたのよ。

春男 そういう点では、再稼働を急ぐとか、安倍政権の姿勢は問題だよね。

あやめ ほんとうにそうよ。福島第1原発が事故収束もしていないのだから、きっぱり事故は収束していないと宣言し、英知を結集して国の総力をあげた取り組みをするべきよ。
(汚染水編はおわり)

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