東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県東通村)敷地内の破砕帯(断層)が活断層である可能性が高いと指摘されている問題で、原子力規制委員会の専門家の調査チームが5月9日、評価書案(たたき台)を検討しました。たたき台は「敷地内断層が活断層である可能性が高い」と結論づけています。規制委の島崎邦彦委員長代理は「この時点でまとめたい」と述べました。
たたき台は、敷地内の主要な断層が、北側に隣接する東京電力敷地内に延びる断層にも続いて、少なくとも南北約5キロメートルに及んでいると指摘。活動時期も現行の耐震審査指針で活断層と判断される後期更新世にあたる11万~8万年前の間で「耐震設計上考慮する活断層である可能性が否定できない」としています。
東北電力は敷地内の変位は粘土鉱物が水を含んで膨らんだためとする「膨潤説」を主張していますが、たたき台は地層の変位を説明するには「根拠が乏しい」と指摘しています。原子炉建屋直下などを通る断層についても、慎重な検討が必要だとしています。
会合では、東北電力の「活断層ではない」とする主張や、「膨潤説」について検討しました。専門家からは、半年も議論しているのに、東北電力から先月新しいデータが示されたため、「全てのデータが提出されているのか確認したい」などの意見が出ました。島崎委員長代理は「(これまでのデータにもとづいて)一定程度の判断はできると思うので、判断したい」としめくくりました。
調査チームはこの日の意見を踏まえて評価書をまとめ、来週、東北電力からも聞きとりをするといいます。