福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は5月13日、同県いわき市で県漁協組合長会議を開き、東京電力が福島第1原発の汚染水増加対策として敷地内で地下水をくみ上げ、海に放出する計画について協議しました。地下水は原子炉建屋で放射性物質に汚染される前の水で、東電は理解を求めましたが結論は出ず、6月以降に改めて協議することになりました。
県漁連の野崎哲会長は終了後、地下水と汚染水の関係などについて、説明を東電に求めました。また、国の態度を明確にするよう求めました。
会議には県内の漁協幹部のほか、水産庁や県の担当者が出席。東電の新妻常正常務が改めて計画を説明しました。漁業者から風評被害を懸念する声が上がっています。
東電によると、第1原発には山側から1日約400トンの地下水が流入。原子炉建屋の地下などで、溶けた核燃料を冷却した水と混ざり、汚染水増大の一因となっています。
東電は建屋地下に流れ込む前に12カ所の井戸から地下水をくみ上げて海に放出すれば、汚染水を1日100トン程度減らせるとみていますが、効果がどの程度か不明です。また、先月、汚染水が漏出した地下貯水槽の位置が井戸の上流側にあるため、地下水への影響が懸念されています。
東電によると、12カ所のうち4カ所で水質を調べた結果、放射能の半減期が約30年のセシウム137は1リットル当たり最大0・12ベクレルと、国の基準値(1リットル当たり90ベクレル)以下でした。その他の放射性物質も基準値を大きく下回ったといいます。
残り8カ所でも水質調査を進めており、現時点で基準値を上回ったケースはないとしています。
第1原発では事故翌月の2011年4月、高濃度の汚染水が海に流出していたことが発覚。東電は高濃度汚染水の保管場所を確保するため、5、6号機地下にたまった汚染水を海に放出し、地元漁業者らの強い反発を招きました。