東京電力の広瀬直己社長は5月16日、福島復興本社(福島県楢葉町)で記者会見し、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の地下貯水槽から漏れた汚染水の量は当初の見積もりより大幅に少なかった可能性があると発表しました。地下貯水槽の水位計の精度を確認したところ、実際の水位からずれが大きくなっていたことがわかったなどとしています。
地下貯水槽から漏れたのは、1~4号機の原子炉建屋、タービン建屋の地下にたまっている高濃度放射能汚染水をセシウム吸着装置や淡水化装置で処理した後の廃液。放射性ストロンチウムなどさまざまな放射性物質を大量に含んでいます。今年の初めから構内に七つある地下貯水槽に順次貯蔵を始めましたが、4月に1~3号貯水槽で相次いで漏れ出しました。
東電は、最初に漏えいが起きた2号貯水槽について、当初は水位計の数字から最大120トン漏れたとしていました。しかし、漏えい検知孔の水位が低いなどの理由から、水位計の精度を確認したところ、実際の値からのずれが大きくなっており、水位が低く計測されていたとみられるとしています。
検和孔の水位や、漏れた水の放射性物質の濃度に基づいて計算し直した結果、2層あるポリエチレン製の遮水シートと一番外側にあるベントナイトシートの間に約300リットル(0・3トン)、ベントナイトシートの外側に約20リットルと推定できたとしています。東電は1~3号貯水槽から漏れた汚染水の量は、シートの間に約400リットル、外に20~30リットルと推定しています。しかし、汚染水漏れの原因や場所はまだ解明されておらず、正確なことはわかりません。広瀬社長は「原因の究明は今後しっかりやっていきたい」と話しています。