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“福島に生きる”「ゼロ」への思い曲に・・フォークグループ「いわき雑魚塾」久保木 力さん(48)

14-05-11ikiru フォークグループ「いわき雑魚(ざこ)塾」の一員、久保木力(つとむ)さん(48)。福島県いわき市に住んでいます。職業は、宅配ドライバーです。

千葉県生まれ。1歳のときにおじ夫婦の養子となり、いわき市に来ました。「ドライバーとして全国を回ったが、いわきは一番住みやすいところ」

小学5年生のころでした。合唱コンクールの練習のとき、音楽の先生から「声を出さずに歌いなさい」と言われたことからトラウマとなりました。「人前で歌うと笑われているように感じ、おとなになるまで歌えませんでした」

ある時、友人から「最近、歌がうまくなったね」とほめられたことから、いわき市内で活動する「うたごえ」サークルに参加。その後、保育園の父母などでつくる「いわき雑魚塾」に加わりました。

♪放射能が汚した 小さな水田 田畑を残し 逃げる人々を 見たその日から 立っている

久保木さんが作った「カカシ」という詩です。

雑魚とは、小魚のことで「価値のない」などと、やゆする言葉として使われます。「音楽的には素人でも、歌に託した思い、伝えたい気持ちは誰よりも強く持っている」と久保木さんはいいます。

 

人生変える事故

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故は「人生を変える大きな出来事でした。物心がついたころにはすでに原発はできていました。危険な存在だとは強く意識したことはなかった。しかし、原発事故が起きて強く危険性を意識させられました。目覚めた」といいます。

「放射線量が比較的低い地域でも子どもを育てて大丈夫だろうかと不安がある」と、国と東京電力に損害賠償を求めた福島原発事故被害いわき市民訴訟の原告になりました。

「いわき雑魚塾」は原発事故後に「でれすけ原発」というCDを作りました。「でれすけ」とは、「バカたれ」という意味です。

♪原発ぶっとんで 放射能ぶんまいで ジジババと住んだらおら家 おっとばされた でれすけ でんでん ごせやける でれすけ 原発 もぉいらねぇ

この「でれすけ原発」のほかに久保木さんが作詩した「カカシ」「ぼくらの自画像」を含め、震災と原発事故をテーマにした歌10曲が入っています。

県民の生の声を

「CDを作り、多くの人に聴いてもらうことによって原発事故を風化させない。福島県民の生の声を届けたい。福島の思いを素直に書いて曲にした」といいます。

「原発にたよる経済や政治は見直そう。原発は日本からなくそう。そのための足がかりになればいい」。CDに込めた思いです。

(菅野尚夫)

「いわき雑魚塾」連絡先=090(3648)5845。

メール zakojuku_iw@yahoo.co.jp

(「しんぶん赤旗」2014年5月11日付けより掲載)

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