日本共産党の笠井亮議員は5月16日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原子力規制委員会が7月に施行する新「規制基準」から現行の原子炉立地審査指針を外していることをあげ「再稼働ありきの新基準は認められない」と批判しました。
笠井氏は、福島第1原発事故と同程度の事故が起きた場合、すべての原発で原発敷地境界での線量が現行の立地審査指針での放射線量(目安線量)を超え、原子力規制委員会の田中俊一委員長も「原子炉を動かすことは困難」と認めていたことをただしました。
田中委員長は「(考えに)変わりはない」と答弁。福島第1原発の立地も「(立地審査指針に照らすと)結果的には適合していなかった」と認めました。
笠井氏は、福島原発事故を受けて、新基準は“メルトダウン(炉心・核燃料溶融)のようなシビアアクシデント(過酷事故)が起こりえる”との前提でつくり直されたが、目安線量を使った立地審査をやめてしまったと指摘。「法令上の規制対象とすると、設置の許可を受けた過去にさかのぼって適用され、既存の全原発の許可が取り消されてしまうからではないか」と迫りました。
田中委員長は「(新基準では)事故が起きても最悪100テラベクレルの放射性物質の放出にならないように(対策を)している」などと答弁。笠井氏が「その保証はどこにあるのか」とただすと、田中委員長は「超えないようにする」としか答えられず、「仮に被ばくの恐れがある場合は避難などの防災対策をとる」と開き直りました。
笠井氏は「ベント(排気)時に住民避難を考慮に入れることは原子炉施設の安全評価の基本的考えに反する」と指摘。「相当な放射性物質が出ることを前提に、住民に被ばくとともに避難という負担を強いる。再稼働ありきの新基準は論外だ」と批判しました。