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世界一危険な“竹やり作戦”・・建屋内は毎時4780ミリシーベルトの区域も

福島第1原発3号機 作業員が語る

核燃料溶融(メルトダウン)などで国際評価尺度で最高の「レベル7」という深刻な過酷事故(シビアアクシデント)を起こしてから2年余が経過した東京電力福島第1原発(福島県大熊町・双葉町)。今も高い放射線量が計測される3号機で、収束・廃炉作業につく作業員たちの現場を追いました。           (山本眞直)

事故当時、高い線量を遮断するため鉛などで厳重に遮へい装備されていた重機。その後はいつのまにか姿を消したといいます=3号機建屋付近で
事故当時、高い線量を遮断するため鉛などで厳重に遮へい装備されていた重機。その後はいつのまにか姿を消したといいます=3号機建屋付近で

「同じ第1原発でも1、2号機と比べて3号機の作業員の被ばく線量はダントツに高い。世界一危険といわれながら、やっていることは(戦争中の)竹やり作戦と同じだ」

2011年夏から3号機でがれき撤去に従事する30代の作業員、安田清彦さん=仮名=の体験的告発です。

3号機建屋内には、毎時4780ミリシーベルトもの高線量区域もあります。まともに被ばくすれば致死率が高まります。5月4日には建屋5階のオペレーティングフロアで毎時540ミリシーベルトもの線量を計測したがれきが見つかっています。がれき撤去作業にあたる無人機は光ファイバーなどを駆使したハイテクの遠隔操作によるものと、東電と元請けの大手ゼネコンは、アピールしてきました。しかし、現場は無人ではありません。作業員は無人機投入の現場の事前確認をし、大型カッターで分解したがれきをさらに細分化し、移動させます。

作業関係者は「連日、100人近い人間が3号機に張り付いている。東電のホームページには登場しない、『陰の作業チーム』だ。ほとんどが偽装請負だ」と労基法違反の事実も指摘します。

このうち安田さんら十数人の被ばく線量は2年間の累積で80ミリシーベルト近くに達しています。国が定める被ばく限度の年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトと比較すると事態の深刻さがわかります。

安田さんは、「3号機での作業以降に妻が妊娠し、出産している。子どもへの影響が気になる」と不安を隠しません。

高い線量で作業員の大量被ばくが指摘されている東電福島第1原発3号機。遠隔操作でがれきをはさみ取り除く大型カッター(右)=福島県双葉郡大熊町・双葉町
高い線量で作業員の大量被ばくが指摘されている東電福島第1原発3号機。遠隔操作でがれきをはさみ取り除く大型カッター(右)=福島県双葉郡大熊町・双葉町

東電が公表した一枚のイメージ図があります。3号機の原子炉建屋ががれき撤去用構台と名付けられた鉄で囲まれています。遠隔操作で動く巨大なクレーンが建屋上部の使用済み燃料プールのがれきを撤去、上部をカマボコ型に覆う特殊な工事の予想図です。

がれき撤去用構台を設置し、ここに燃料取り出しのための移動式クレーン用レールなどを設置する作業は有人作業に頼らざるを得ないといわれています。

現場は東電の放射線測定図によれば空間線量が毎時500ミリシーベルトという高線量エリア。安田さんは言います。「ボルト締めなどを複数の作業員による人海作戦でやっても被ばくは避けられない」

東電は「3号機など線量が高いほど計画的に交代の人員を付けている」(本店広報部)としています。

安田さんは、「現場では難しい特殊な作業が増えており、熟練作業員の被ばく線量は限度を超えている。国あげての英知を本気で結集しないと何十年、何百年かけても収束できない。東電の金をかけない、その場しのぎの対応ではトラブル続きで、作業員の安全も確保できない」と指摘します。

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