東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故で、同原発から事故後1カ月あまりの間に大気中へ放出されたセシウム137の量は、20万テラ(1テラは1兆)ベクレル近いとみられる・・。千葉市の幕張メッセで開かれている「地球惑星科学連合」大会で5月20日、気象研究所のチームが推計値を発表しました。これまで、日本の各機関が推計した値は10万テラベクレル前後の値のものが多く、それより2倍近い値となっています。
福島第1原発事故では、放射性物質がいつ、どれぐらい大気中へ放出されたかはっきりしていません。研究チームは、事故後、世界中の51地点で観測された値をもとに「逆解析」と呼ばれる方法で、いつ、どれぐらい放出されたかを推計しました。
その結果、事故が発生した2011年3月11日から1カ月あまりの間にセシウム137が約19万5000テラベクレル大気中へ放出されたとみられることがわかったといいます。また、1日の放出量としては、3月15日の放出量が最も多かったこともわかったといいます。
これまで、福島第1原発事故で放出されたセシウム137の量について内外の研究者や機関が推計値を発表していますが、その値には大きな隔たりがあります。
これまで、日本の各機関が発表した値としては、東電の10万テラベクレル、日本原子力研究開発機構の約9万テラベクレルなどがあります。