日本共産党の紙智子議員は5月20日の参院決算委員会で、東電が福島第1原発事故の帰還困難区域の住民に示している補償額では新たな住宅を建てられないと追及し、事故前の生活を取り戻すことに責任を果たすべきだと主張しました。安倍晋三首相は「避難期間が大変長期におよび、避難者が移住せざるを得ないことも考えられるわけで、国としても被害者の実態に沿った賠償を検討していきたい」と答えました。
紙氏は、福島県浪江町の帰還困難区域のある被災者が、自宅敷地の放射線量が事故前の水準に戻るには100年以上かかり、「家には帰れない。早く新しい土地で生活できるよう賠償してほしい」と訴えていることを紹介。ところが東電の補償は事故直前の公示価格をもとに算定しており、福島市の土地の実売価格は浪江町の住宅地の補償額の2倍以上になると述べ、「東電の補償額でどうして福島市に家を持つことができるのか」とただしました。
東電の広瀬直己社長は「固定資産(税)評価額をベースにしてやらせていただいている」と述べ、実売価格を大きく下回る公示価格による補償が当然であるかのように開き直りました。
紙氏は、政府の「中間指針(第2次追補)」が帰還困難区域などでの補償について、「同等の建物を取得できるような価格とすることに配慮する」と明記していると指摘。被災者に責任がない以上、「中間指針(追補)」のとおり補償し、生活再建ができるようにすべきだと迫りました。
経産省資源エネルギー庁の高原一郎長官は「現在の賠償基準が実態を踏まえたものであるか、あらためて検討し、追加的な措置が必要であれば、東電の賠償基準に反映させるなど対応していきたい」と表明しました。