原子力規制委員会は5月22日、規制委の専門家チームが原子炉直下に活断層があると結論づけた日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)について審議します。現行の国の指針は、活断層の真上に原子炉建屋など重要施設・構造物を建てられないと規定しており、規制委がどのような判断を下すか注目されます。
同原発の敷地内は原子炉から東200~300メートルの位置に、第一級の活断層とされる「浦底(うらそこ)断層」があり、そこから枝分かれした破砕帯(断層)が160本も走り、1、2号機の原子炉建屋直下も通っています。
チームは日本活断層学会など4学会の推薦を受け、過去に調査対象の原発の審査に関わっていない専門家の中から選ばれた4人の専門家と規制委の島崎邦彦委員長代理で構成。2号機直下を走る「D-1」破砕帯に注目し、6ヵ月近くに及ぶ調査と議論を行い、15日に「活断層である」と結論づけました。
敦賀原発の敷地内の活断層については、専門家が早くから指摘してきました。
しかし、国と日本原電はこれを認めようとしませんでした。
浦底断層は1980年代前に専門家から活断層と指摘されながら、日本原電が認めたのは2008年になってからです。原子炉直下の断層の危険性についても以前から変動地形学者や住民団体が指摘してきましたが、旧経済産業省原子力安全・保安院が専門家と現地調査をしたのは、東日本大震災後の昨年(2012年)4月でした。
チームの座長で規制委の島崎氏は「これまで事故がなかったのは幸いというしかない」と述べました。規制委の田中俊一委員長も「今のままでは再稼働の審査はできない」と述べており、廃炉の公算が高くなっています。
一方、日本原電は「到底、受け入れがたい」一方的な結論」と反発。チームの専門家に抗議文を提出するなど、廃炉はしないと表明しています。