東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の原子炉建屋などの地下に1日平均約400トンの地下水が流れ込んで高濃度放射能汚染水が増え続けている問題で、政府の処理対策委員会(委員長・大西有三京都大学名誉教授)は5月30日、東電に上流側へ遮水(しゃすい)壁を設置するよう求めることを決め、東電に通知しました。
地中を凍らせて地下水が流れ込まないようにしようというもので、地中にパイプを打ち込んで内部に冷却材を循環させることで、周りを凍らせるとしています。
福島第1原発1~4号機の原子炉建屋などの地下には、燃料を冷やすために注入した水が高濃度放射能汚染水となってたまっているほか、1日平均約400トンの地下水が流れ込んでいます。
東電は、高濃度放射能汚染水を処理した後に残る汚染水などをタンクなどに貯蔵していますが、今後、タンクをつくる場所がなくなることが懸念されています。4月には、タンクの代わりに使用した地下貯水槽から汚染水が漏れる事故が発生しています。
上流へ遮氷壁を設置する案は以前にもありました。しかし、東電は地下水の水位が下がり、建屋の地下の水位が上がると、高濃度放射能汚染水が建屋の周囲に漏れだす危険があるとして設置を見送ってきた経緯があります。