日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の機器1点近くで点検時期の超過が見つかった問題で、原子力規制委員会は5月30日、原子力機構の辻倉米蔵副理事長(理事長代行)を呼び、運転再開に向けた準備作業を当面進めないよう命令しました。
命令書を受け取った後、取材に応じた辻倉副理事長は「真摯(しんし)に受け止め、機構を挙げて対応したい」としましたが、具体的な対応については「近く就任する新理事長の下で明確に示す」と述べるにとどめました。
原子力機構は年度内の運転再開を目指していましたが、命令によって準備作業ができなくなります。さらに、もんじゅの敷地内を走る断層(破砕帯)に活断層の可能性が指摘されており、辻倉副理事長も「(年度内の再開は)大変厳しい」との認識を示しました。
点検漏れ問題で規制委は2月、もんじゅの立ち入り検査を実施。調査を進めた結果、点検が現場の判断で先送りされたり、チェックが不十分だったりしたことが判明。今月17日には、鈴木馬之理事長が引責辞任しました。
規制委は安全文化の劣化など、組織的な問題を指摘。原子力機構を所管する文部科学省に対しても指導、監督を要請しました。
もんじゅは1995年のナトリウム漏れ事故で長期停止した後、2010年に試験運転を再開しましたが、燃料交換装置の落下事故などで再び停止しています。