6月2日、東京都内でおこなわれた「ノーニュークスデイ」の共同行動。明治公園と芝公園、国会前で開かれた三つの集会は、「原発ゼロ」「再稼働反対」の声であふれました。
“収束宣言の撤回を”・・明治公園 原発ゼロ中央集会
東京・明治公園で開かれた「原発ゼロをめざす中央集会」(主催=原発をなくす全国連絡会)には、全国から1万8000人が参加しました。
主催者あいさつした全日本民主医療機関連合会の長瀬文雄事務局長は、「原発ゼロは圧倒的多数のゆるぎない意思です。日本から原発をなくす出発点にしよう」と呼びかけました。
この日、「ノーニュークスデイ」の統一ロゴのもとに共同行動した二つのグループから連帯あいさつ。首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんは、「一人ひとりの力は小さくても集まれば政府を動かせる。私たちの世代で原発ゼロの政策に転換させるため、力を合わせていこう」と語りました。さようなら原発1000万人アクションを代表して日本消費者連盟の富山洋子さんが、「日々の取り組みを地域と職場から力強く展開しましょう」と訴えました。
「被災地からの訴え」として、福島の青年ら30人が登壇。代表して、ふくしま復興共同センター代表委員の斎藤富春(よしはる)さんが、「政府と東電に完全賠償と県内10基の原発廃炉を求める新しい署名運動に取り組みたい」と話しました。
3歳の娘を抱いた熊谷智さん(33)=福島市=がコールを呼びかけ、「福島原発10基を廃炉に」「収束宣言撤回させよう」と会場と一体となって唱和しました。
玄海原発のある佐賀や、伊方原発のある愛媛、県庁所在地に原発のある島根などからの発言もありました。
政府動かす人間の輪・・国会前 「がんばるぞ」唱和
2日夕、首都圏反原発連合(反原連)がよびかけた「0602反原発☆国会大包囲」の行動が展開されました。原発をなくす全国連絡会、「さようなら原発一千万署名」市民の会がおこなったデモ・パレードの参加者も合流。国会周辺に続々と人がつめかけました。午後5時から始まった国会前大集会で反原連のミサオ・レッドウルフさんが「国会包囲」の完成を報告。「一人ひとりが輪になれば政府を動かします」と訴えると、「がんばるぞ」の声と拍手がおきました。
大江さん、落合さんらデモ 芝公園・・「さようなら原発」集会
芝公園で開かれた「6・2つながろうフクシマ! さようなら原発集会」(主催=「さようなら原発一千万署名」市民の会)には、7500人が集まりました。
呼びかけ人で作家の大江健三郎さんは、政府が原発の輸出をすすめ、国内での再稼働をねらっていることについて、「広島、長崎への裏切りであり、原発ゼロの圧倒的意思を示す世論への侮辱だ」と批判。「次の世代が生き延びうる世界を残すということを何よりも根拠として、原発ゼロのデモに加わります」と強調しました。
作家の落合恵子さんは、「巨大地震の予想と原発が別個に語られる。まるで3・11などなかったかのように。私たちは抗議しましょう、声をあげましょう」と呼びかけました。
ルポライターの鎌田慧(さとし)さんは、「人を犠牲にする原発を財界のもうけのために再稼働させようとする安倍政権は許せない」と訴えました。
原発をなくす運動に取り組む人たちが発言。首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが連帯あいさつしました。集会終了後、大江、落合、鎌田の各氏らを先頭に、白いハトの風船をもってパレードしました。
ブース多彩に・・明治公園
明治公園の「原発ゼロをめざす中央集会」では、多彩なブース企画で交流しました。
ふくしま復興共同センターのブースでは、福島第1原発事故による放射能被害の実態を訴える写真展を開催。原発事故の「収束宣言」撤回を求める署名の協力を呼びかけると、参加者が列をなして応じました。
参加者は、放射能被害で出荷できなくなった柿や、防護服に身を包んで帰宅する住民を撮った写真に見入っていました。写真は、福島市在住の渡部幸一さん(72)が撮影しました。原発事故で大きな被害を受けた南相馬市出身です。「これだけの犠牲を強いているのに、再稼働しようなんて許せない。運動を力に、政府を追い込んでいきたい」
首都圏反原発連合(反原連)のブースは、原発ゼロを訴えるバッジやTシャツなどを販売しました。反原連が発行した「ノーニュークスマガジン」も無料で配布。「原発のことをわかりやすくまとめているので、ほしかった。地元で配ります」と50部ほど受け取る人もいました。
日本共産党のブースでは、第1部で小池晃副委員長(参院比例予定候補)と吉良よし子参院東京選挙区予定候補、日本民主青年同盟福島県北地区委員長の佐藤大河さんが、原発事故の収束宣言とは程遠い福島の現状や原発ゼロへの思いを話しあい、福島と全国で声をあげつづけることで、収束宣言撤回、原発ゼロへ政治を動かしていこうと交流しました。
第2部では、都議と5人の参院選挙区予定候補がリレートークしました。
反原連の国会大包囲 スピーチ・・ご当地コール 歌 「原発なくそう」の熱気
6月2日におこなわれた首都圏反原発連合の「0602反原発☆国会大包囲」のファミリーエリアでは、「原発ゼロ」「再稼働反対」を訴える熱い抗議行動が繰り広げられました。
ファミリーエリア
国会正面前北側。夕方5時開始予定のファミリーエリアには、1時間前からベビーカーを押した親子連れや青年などが次々と集まってきました。
「げんぱつはんたい!」と手作りの旗を振っていた4歳の男の子。母親(38)=東京都世田谷区=は、「ニュースとか親の話とかを聞くうちに『原発は怖い』と思ったみたいで、一生懸命作ってました」と話します。
女性(39)は子ども4人と夫と一緒に群馬県太田市から参加。明治公園の「原発ゼロをめざす中央集会」に参加し、原宿コースを歩き、ファミリーエリアにたどり着きました。「水道水はまだ不安で水を買っています。この子たちの将来を考えたら、原発はいらないと声をあげるのは私たちおとなの責任です」
1歳10カ月の息子とシャボン玉を飛ばしていたのは、川崎市川崎区の女性(31)です。妊娠中に福島の原発事故が起きました。仕事を休み、家にこもる日々。「テレビからは怖い映像が流れ続けて不安だった」と振り返ります。「原発事故のことがなかなかメディアに取り上げられなくなって、怖さが薄れていく人が増えてしまった。自分がここで体感して、広げていくのが大事だと思っています」
4時58分、ヒマワリのブーケを手にした司会の紫野明日香さんが「ちょっと早いですけど、みんなもう声をあげたいですよねえ」と呼びかけ。「ウオー」「イエーイ」。5時を待たずにスタートしました。
スピーチにまじえ、原発立地県の参加者がご当地コールや自作の歌を披露します。
愛媛の「伊方原発をとめまっしょい若者連合」は、手拍子に合わせ「止めまっしょーい、止めまっしょい。伊方原発止めまっしょい」と「止めまっしょいコール」。JR金沢駅前で抗議行動を続ける「どいね☆原発」(石川の方言で「どうして原発なの?」)はできたてホヤホヤの「どいね音頭」で「子どももおとなもどいね、どいね♪」。静岡の参加者は「コールが長いと警察に怒られる」との理由でつくった替え歌で「いつだって忘れない。原発はいらないよ。そんなの常識♪」とアピール。人の輪がふくらんでいきました。
サンバ集団「サンバ・プラネッタ」や、ジンタらムータwithリクルマイの歌も加わり、「原発なくそう」の熱気は最高潮に。
日も傾いたころ、福島県双葉町から避難している女性が涙ながらに訴えました。「つらい思いは私たちだけで十分です。お願いだから子どもたちを守ってください。絶対再稼働させないでください。おらあ、今すぐ双葉さ帰りてえよ。今すぐ帰りてえ…」