国内の原発で唯一運転中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)が新規制基準にどの程度適合しているかを判断する原子力規制委員会の評価会合が6月6日開かれました。
関電は若狭湾の二つの断層と、大飯原発東側の熊川断層の三つが同時に動いた場合の揺れの試算を提出しました。関電は3連動はしないとの立場ですが、試算を行った結果、断層の傾斜角度など複数の条件を変えた場合でも、揺れの強さは759ガル(ガルは加速度の単位)を超えず、主要な機器の耐震性に影響はないとしました。
しかし、専門家から「かなり恣意(しい)的な計算だ」など批判的な意見も出され、規制委は、断層の破壊開始地点や地下構造など、条件をより厳しく設定した試算結果を示すよう要請しました。また、その上で3連動による地震の揺れが建物や機器にもたらす影響を早急に評価するよう求めました。
関電はこれまでの断層調査などから「3連動はしない」として、想定する地震の最大の揺れ(基準地震動)を700ガルに設定しています。昨年(2012年)の旧原子力安全・保安院の検討会で専門家から指摘を受け、関電は「念のため」として3連動を仮定した試算を実施。揺れの大きさは759ガルになりますが、主要な機器の耐震性に影響はないとしました。これに対し規制委は4月、「3連動を前提に計算してほしい」と改めて要請していました。
会合では基準となる津波についても議論。規制委は、福井県が想定している長さ90キロメートルの「若狭海丘列付近断層」による津波評価、海底地滑りと地震の重なり合いなどを評価するよう、関電に求めました。