東京電力は6月7日、一昨年3月11日の東日本大震災で被害を受けた福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の現場を報道関係者に公開しました。同原発には4基の原子炉があり、公開されたのはそのうち1号機の原子炉建屋や、海水熱交換器建屋など。公開に先立って、設楽親所長があいさつし、今泉典之副所長が設備の復旧状況を説明しました。
福島第2原発は、地震の揺れと津波で外部電源の一部や非常用ディーゼル発電機が使えなくなったほか、燃料から出る崩壊熱を除去する海水ポンプが水没するなどして、一時危機的な状況となりました。この日の現場公開は、5月30日に全号機の冷温停止維持にかかわる設備の復旧が終わったとして公開されたものです。
公開された設備の傍らには津波をかぶったために砂が内部に積もった状態の配電盤が置かれるなど、地震・津波による被害のすさまじさを示していました。
福島第2原発は、福島第1原発のように燃料が溶融し、大量の放射性物質を放出する過酷事故には至らなかったものの、そうなる危険性はありました。このため、福島では県民総ぐるみで、東電が廃炉にしていない福島第2原発の4基と、福島第1原発の残る2基を廃炉にするよう求めています。
県民の声をどう受け止めるか問われた設楽所長は「そういう意見があることは承知しているが、まずは冷温停止をしっかりやっていくことが大事だと考えている」と答えました。しかし、海に面した場所は一部に土のうが積んであるだけです。設楽所長は「どのくらいの津波に対応しなければならないか、検討した上で(防潮堤の建設などに)取り組んでいきたい」と述べるにとどまりました。 (間宮利夫)